Magentoとは? メリットや料金プラン、導入事例を解説
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KOMOJU(コモジュ)は個人から世界的大企業まで様々な事業者が利用している日本の決済プラットフォームです。
越境ECサイトの立ち上げを検討中の事業者は、MagentoというEC構築プラットフォームを見たことがあるのではないでしょうか。
Magentoは、以下のような企業におすすめのEC構築プラットフォームです。
- 越境ECサイトを構築・展開したい事業者
- 年間数億円規模の売上を見越している事業者
- BtoB向けのECサイトを構築したい事業者
Magentoは欧米では定番で、日本でも越境ECサイト構築時に導入されています。ただ、日本語での情報が少ないこともあり、どんなメリットがあるのか分からない方も多いでしょう。
そこで今回は、Magentoの機能やメリット、料金プラン、導入事例などをご紹介します。日本でも導入が増えているShopifyとの違いも解説します。
Magentoを利用して、ネットショップの開設を検討している方の参考になれば幸いです。
Magentoとは?
画像引用:公式サイト
Magento(マジェント)とは、越境ECサイト構築に強みを持つ、オープンソースのEC構築プラットフォームです。オープンソースとは、ソフトウェアの仕組みを無償で公開することを指し、だれでも好きなようにソフトウェアを作り変えられます。在庫管理や配送などECサイト運営に必要な機能が備わっており、自由に機能やデザインをカスタマイズしながら、高性能なECサイトを構築できます。日本では越境ECサイト構築の用途で注目されていますが、欧米では定番のEC構築プラットフォームです。
Magentoの特徴として、60以上の言語と、50種類以上の通貨に対応していることが挙げられます。英語や日本語、中国語などはもちろんのこと、アラビア語やヒンズー語などの言語にも対応可能です。現地の通貨での決済や、為替レートに応じた価格の自動計算、各国の税制の対応までカバーできます。
Magentoは、元々Magento社が2007年から開発・提供していたもので、2018年にAdobe社に買収されました。有料版「Adobe Commerce」(2021年4月に「Magento Commerce」から名称変更)と無料版「Magento Open Source」があります。
日本ではソフトバンク株式会社や花王株式会社、三菱電機株式会社、日本航空株式会社などの大手企業でも導入されています。Magento(Adobe Commerce)はクレジットカードのセキュリティ認証規格であるPCI DSSを取得しており、大規模かつ海外にビジネスを展開するうえでセキュリティ面を重要視する企業にもおすすめです。
Magentoの主な機能
Magentoは、ECサイトの構築に必要な機能が揃っており、有料または無料のアプリ・エクステンションで機能追加も簡単にできるようになっています。
共通の基盤をもとに複数のチャネルを繋ぎ、オムニチャネル戦略にも対応できます。このシームレスな買い物体験は、BtoC・BtoBを問わず柔軟に提供可能です。また、AIを活用してパーソナライズされた購買体験の提供を実現します。
Magentoの主な機能をご紹介します。
1. AIを活用した商品レコメンデーション
AI(人工知能)を活用して、お客様の行動や流行などをもとに関連性の高い商品を勧めることができる、Adobe Commerceの機能です。
欲しいものがあっても最適な商品に出会えないお客様に、AIが関連性の高い商品を自動的に提案し、最適な商品選びを手助けすることができます。この機能によって事業者としても想定以上の売上を期待できるでしょう。公式サイトによれば、商品レコメンデーションを利用したお客様は、再訪問する可能性が2倍になるとされています。
この商品レコメンデーション機能は「Adobe Sensei」という拡張機能で、Adobeのマーケットプレイスで無料でダウンロードできます。
2. パスワードを必要としないクイックチェックアウト
クイックチェックアウトは、購入までに8クリックして平均2分かかるところが、1クリックですぐに購入できるようになる機能です。Adobeが構築し、Boltが提供しています。有料版のAdobe Commerceと無料版のMagento Open Source、どちらでも利用可能です。
Boltのアカウント登録を行ったお客様は、パスワードを入力せずともすぐに商品を購入できます。これにより、ECサイトの利用頻度の低いお客様の再訪問を促せるでしょう。
このクイックチェックアウト機能は、Adobeのマーケットプレイスで無料でダウンロードできます。
3. クロスチャネルでの在庫管理・注文管理
お客様の買い物体験は多様化しており、店舗・ECサイト・SNSなど複数のチャネルで接点を持つことが増えてきています。そんな中でMagento(Adobe Commerce)は、実店舗・ECサイト・倉庫をシームレスに連携させることが可能です。
クロスチャネルでの一貫した在庫管理・注文管理によって、お客様がオンラインで購入した商品を実店舗で受け取ったり、実店舗で購入した商品を配送して自宅で受け取ったりと、より快適な買い物体験を実現します。
4. ビジネスインテリジェンス
Magento(Adobe Commerce)のビジネスインテリジェンスなら、あらゆるデータを集約して一元管理し、ダッシュボードでの表示やレポートの作成などを誰でも簡単にできるようになります。
平均注文額(AOV)や顧客生涯価値(LTV)、顧客維持率など多様なデータを分析し可視化することで、より売上を向上させたり、お客様との接点を強化させたりできるようになります。
5. マルチブランドソリューション(マルチストア対応)
Adobe Commerceの機能で、複数のブランドや複数の国・地域での販売を一つのアプリケーションで対応できます。BtoB・BtoCの両方で展開している場合にも、追加料金を払う必要はありません。
商品情報、関連コンテンツなどを一元管理し、ブランドのイメージを統一しつつも、販売価格や決済手段、配送方法の選択肢などを、ECサイトや国ごとに変更することができます。別のECサイトを立ち上げる場合も掲載情報をすべて作り上げる必要はなく、スムーズに適切な形で販売可能です。
Magentoを利用するメリット
オープンソースで越境ECに強みを持つMagentoを利用してECサイトを構築する場合、以下のようなメリットがあります。
1. オープンソースで拡張性が高い
オープンソースとして公開されており、無料でECサイトを構築できるMagentoには、ECサイトに欠かせない機能が備わっているうえに、機能を拡張できるオプション(アプリ・エクステンション)やテーマが豊富にあります。拡張性が高く自由に機能を追加してカスタマイズできることがメリットです。
ECサイトを構築した当初は不要だった機能も、販売数や売上が拡大するにつれて必要になるケースもあるため、いつでも機能追加できるのは嬉しいポイントです。
2. 複数のECサイトを一括で運用できる
一つのアプリケーションで複数のECサイトを構築・運用できます。ECサイトごとに設定の必要があるEC構築プラットフォームがほとんどですが、Magentoでは複数のECサイトの商品や在庫の最新情報を連携させて運用することも可能です。
3. 高性能で表示速度が速い
登録している商品など大量にデータがある場合、ECサイトのページ表示速度が遅くなることがありますが、Magentoはさまざまな方法で高速度を保ちます。100万点以上の商品を掲載しても、大量の注文が入っても、ECサイトの動作を安定させ、ページがすぐに表示されます。
処理を高速化させる方法は、商品や決済情報などさまざまなデータを別のデータベースに格納したり、世界中に分散されたネットワークの中からユーザーに一番近いものを選べるCDN(Content Delivery Network)を使用したり、サイト上の安全性や速度を守るホスティングサービスを活用したりすることです。
このように、オープンソースでカスタマイズの自由度が高く、大量のアクセスにも耐えることができ、一つのアプリケーションで複数のECサイトを運用できるのが、Magentoの強みでありメリットです。
Magentoをおすすめしたい会社
ここまでご紹介してきた特徴・機能・メリットから、Magentoを活用してECサイトを構築・運用するとよい会社は、以下のような事業者です。
- 越境ECサイトを構築・展開したい事業者
- 年間数億円規模の売上を見越している事業者
- BtoB向けのECサイトを構築したい事業者
Magentoは60以上の言語と50種類以上の通貨に対応しており、一つのアプリケーションで複数のECサイトを運用できます。国や地域ごとにECサイトを使い分けるなど、越境ECを展開したい事業者にとって使いやすい機能が備わっているといえます。
また、大規模なECサイトを運用することが見込まれる場合、クラウドのECプラットフォームではなく、拡張性が高く高性能なMagentoを選べば、途中でECサイトを改修する手間がかかりません。
さらに、Magentoには、BtoB向けのECサイトに必要な機能が備わっています。具体的には、顧客によって提示する商品価格表を変更したり、購入数によって割引を行ったり、代理店向けの販売ページを用意したり、既存のERPツールなどと連携したりすることが可能です。
事業規模が拡大してECサイトのリニューアルが必要になってから、「最初からMagentoで構築しておけばよかった」と思うことがないように、必要な機能などを検討してください。
Magentoの料金プラン
Magentoには、無料版と有料版があります。無料版でも十分にECサイトを運営できますが、サイトのパフォーマンスや機能面でさらに充実させていくなら有料版の利用をおすすめします。
【無料版】Magento Open Source
Magento Open Sourceは、無料で利用できるEC構築プラットフォームです。ECサイトを展開するにあたって必要となる機能が備わっており、オリジナルのECサイトをゼロから構築できます。マーケットプレイスから欲しい機能を追加する場合は、有料のものと無料のものがあります。
【有料版】Adobe Commerce
Magentoの有料版は「Adobe Commerce」と呼ばれ、オープンソースであるMagento Open Sourceでは不十分だと考える事業者向けのEC構築プラットフォームです。導入費用は個別に問い合わせが必要ですが、600万円以上が目安です。
有料版で利用できる機能の一例は以下のとおりです。
- Page Builder(ページビルダー。マウス操作で画面レイアウトやページを作成する機能)
- BtoBのECサイト運営の各種機能
- 実店舗とECサイトをまたいだ在庫・配送管理
- BI(ビジネスインテリジェンス。情報を一元化し、レポート作成などで可視化する機能)
- コンテンツの下書きとプレビュー
- ギフトカードなど
有料版では、無料版よりもさらに大量の商品を掲載するのに耐えうるサイトパフォーマンスを期待できます。また、公式のサポートやセキュリティの更新などが備わっているのも、有料版の特徴です。
MagentoとShopifyとの比較
MagentoとShopifyの特徴を比較表にまとめました。
Magento | Shopify | |
公式サイト | ||
初期費用 | ・Magento Open Source:無料 | 無料 |
月額費用(月払い) | ・Magento Open Source:無料 ※レンタルサーバーとドメインの費用が別途発生 | ・ベーシック:33米ドル(約4,950円*) |
ECサイト上位100の利用率 参照:BuiltWith | 8% | 20% |
対応言語 | 60言語以上 | 最大5言語 |
対応通貨 | 50種類以上 | 130種類以上 |
アプリ・エクステンション | 4,100以上 | 8,000以上 |
決済手段 | クレジットカード(VISA、Mastercard、Discover、American Express)、PayPal、Venmo、Apple Pay など | Shopify ペイメント、クレジットカード、Apple Pay、Google Pay、Shop Pay、PayPal、Amazon Pay、Paidy、NP後払い、d払い など |
販売手数料 | 無料 | 無料 |
決済手数料 | 決済サービスによる | クレジットカードの場合 ・国内:3.25%〜3.4% |
振込手数料 | 決済サービスによる | 決済サービスによる |
外部サービス取引手数料 | 決済サービスによる | Shopify ペイメントを利用していない場合 ・ベーシック:2% |
*2023年11月時点(1米ドル=150円)
1. 導入費用
ShopifyとMagentoを比較してみると、導入費用に大きな差があります。
Shopifyは初期費用が無料で、月額費用はプランごとに決められています。小規模事業者から大規模事業者まで幅広く利用されています。
一方でMagento Open Sourceは月額費用が無料ですが、別途、レンタルサーバーとドメインの費用が発生します。外部に開発を委託する場合も、費用がかかります。有料版のAdobe Commerceの費用は問い合わせが必要ですが、600万円以上が目安です。
売上規模が数億円と見込まれており、機能やデザイン、越境ECを強化する場合にはMagentoがおすすめです。
2. 決済手段
ECサイトにおいて、お客様が利用している決済手段に対応しているかどうかは売上を左右します。いつも利用している決済手段が使えないと、支払いをせずにサイトを離脱してしまう可能性が高まるからです。
Shopifyは独自の決済手段としてShopify ペイメントが利用できます。決済代行サービスとして、KOMOJU、GMOイプシロン、SBペイメントなどが導入可能です。
Magentoも、クレジットカード以外に、PayPalやApple Payなどが利用可能で、決済代行サービスとして、KOMOJU、GMOペイメントゲートウェイなどが導入可能です。
KOMOJUで複数の決済手段に対応すると、クレジットカード以外に、コンビニ決済、銀行振込、ペイジー、キャリア決済、スマホ決済(PayPay、LINE Pay、メルペイ)、各種電子マネー(プリペイド決済)が利用できるようになります。詳細はこちらをご覧ください。
3. アプリ・エクステンション
アプリやエクステンションで機能を追加することで、オリジナルのECサイトを構築できます。Magentoは4,100種類以上、Shopifyは8,000種類以上あります。
どちらも豊富にアプリやエクステンションが提供されており、十分にカスタマイズが可能です。あらかじめ、必要な機能を補うアプリが提供されているか、動作が安定しているか、利用者数に多く評価されているか、などを確認しておくと安心でしょう。
Magentoの導入事例
Magentoの導入事例をご紹介します。事業規模の大きな会社での導入が多く見られます。年間売上が数億円単位を見越している事業者は参考にしてください。
1. Paul Smith
イギリスを代表するファッションブランド「Paul Smith」は、オンラインでの売上が増加していく中でECサイトでの買い物体験を最適化しようと、Magento(Adobe Commerce)への移行を行い、売上が15.5%向上しました。
特に注力したのが、モバイルでの買い物体験の向上です。ページ内にメニューや商品を分かりやすく表示したり、Magento(Adobe Commerce)のチェックアウト機能とPayPal Express Checkoutを活用したりして、スムーズに買い物できるようにしました。その結果、モバイルユーザー数は8.6%増加し、モバイルコンバージョン率も5%向上しています。
他にも、フルフィルメントの改善が行われ、お客様がオンラインで注文したものを自宅配送以外に実店舗でも受け取れるようになりました。海外でも対応が可能になっており、管理画面上で配送オプションの調整が完結します。
新ECサイトは6か国で展開され、2つの言語と複数の通貨への対応も、Magento(Adobe Commerce)一つで運用できています。
詳細はこちらをご覧ください。
2. モノタロウ インドネシア
BtoB向けのECサイトとして有名な、オフィス用具や消耗品などを取り扱う「モノタロウ」は、インドネシア版にMagentoを活用しています。
越境ECサイトを立ち上げた当初は、Magentoではないプラットフォームを使っていました。しかし扱う商品数は予定していた300万点を大きく上回り、事業が拡大するにつれシステムが追いつかなくなり、Magentoの利用を決めました。
モノタロウの商品数は国内向けを含めると約1,900万点あり、登録ユーザー数も800万を超えています(2023年現在)。大規模なアクセスが予想されるECサイトに、Magentoが適していることが分かります。
3. 無印良品
雑貨や日用品の販売を行う「無印良品」は、ECサイトのデザインをWordPressで制作し、ECカートや決済機能をMagentoで構築しています。併用することで、それぞれの強みを活かして、より自由度の高いECサイト制作を行っています。
Magentoは「ページビルダー」という機能が導入され、ドラッグ&ドロップでページを直接編集でき、デザイン面でも幅広くカスタマイズできるようになりました。Magentoのみでも希望するサイトを制作できるでしょう。
Magentoを導入する際の注意点
MagentoでECサイトを構築する際、以下のような点に注意して行うことをおすすめします。
- ECサイトの完成までに時間がかかる
- 機能の操作方法などの理解・習得に時間がかかる
Magentoは、多機能で自由度の高さが魅力のEC構築プラットフォームです。オリジナルのECサイトの構築が可能ですが、その分、完成までに時間がかかります。初期構築や開発が複雑なため、外部パートナーに開発を委託する企業も多いです。
また、Magentoに備わっている多くの機能や操作方法をすべて理解するのは時間がかかるでしょう。シンプルに操作して簡単にECサイトを構築したい場合には向いていません。
Magentoの管理画面は日本語表示にも対応していますが、操作や設定に関する情報を調べると英語の資料が出てくることも多いため、さらに時間がかかる可能性があります。
まとめ|大規模な越境ECサイト構築ならMagentoを活用しよう
今回はMagentoの特徴・機能・メリット・料金プランなどをご紹介しました。
多言語・多通貨決済に対応でき、大量のアクセスにも耐えられるMagentoは、日本の大手企業でも導入されており、大規模なEC事業を展開する場合に向いているといえるでしょう。
ECサイトを構築する際に検討したいのが、幅広い決済手段に対応することです。お客様がカートに欲しい商品を入れたにも関わらず、決済ができないことでそのままサイトから離脱してしまうことがないよう、様々な決済手段に対応しましょう。
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