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さまざまなクリエイターが注目し、続々と参入者が増加しているNFTアート市場。
Twitterの創始者であるJack Dorsey氏が、Twitterで最初につぶやいたツイートがNFT化され、約291万ドル(約3億1,500万円)という高額で落札されたことで、一気にNFTの存在が知られました。
また、2021年10月には「ポケットモンスター」シリーズや『ポケモンカードゲーム』の公式イラストなどで知られる、さいとうなおき氏が出品した作品が、約600万円で落札されたニュースも飛び込んできています。
こうしたデジタルコンテンツに価値がつき、売買されるようになったのは「NFTアート」の存在によってです。
NFTアートの売買が注目を集めている今、NFTアート作品の仕組みやメリット・デメリット、出品・売買のやり方、NFT売買プラットフォームについて知っておきましょう。本記事ではNFTの市場規模や現在の課題、今後の将来性について解説します。
NFTアート作品とは?
NFTアート作品とは、画像や動画などのデジタルアートに「NFT」と呼ばれる仕組みが掛け合わさった作品のことです。デジタルアート作品とNFTが紐づくことで、作品の唯一性が担保されます。
NFTアートには幅広い種類があり、画像や写真、動画、映像、ツイートなど、デジタルデータとして扱われるものすべてが対象になります。
そもそもNFTとは?
NFTとは、「Non-Fungible Token(ノン・ファンジブル・トークン)」の略称で、非代替性トークンと呼ばれます。
NFTは、ブロックチェーン技術が活用されており、作品ごとに付与した情報によって唯一性を証明でき、改ざんができなくなります。なお、ブロックチェーンは、ビットコインなどの暗号通貨にも使われている技術です。
NFTは基本的にイーサリアムのブロックチェーンを利用しています。個々のデジタルデータに識別可能コードを付与することで、固有のものとして判別できるようになります。これにより、NFTアートは作品としての価値を持つことができるようになります。
NFTの市場規模
NFTへの注目の高まりにより、直近でNFTの市場規模は拡大しています。特に2021年に入ってから急成長しました。
参照:NonFungible「Here’s our 2021 NFT Q2 report!」
NonFungibleが公開したNFT調査レポートによると、2021年度の第2四半期での市場規模は、約7.54億ドル。2020年度の第2四半期で約2123万ドルだったことから、たった1年で約35倍に拡大しています。
参照:NonFungible「Here’s our 2021 NFT Q2 report!」
上の2021年度第2四半期のNFTのトレンドを見ると、NFTアートはコレクションに次いで2番目に大きい市場になっています。
NFTアート作品の仕組み
NFTアート作品の仕組みを具体的に説明します。
前述したとおり、NFTはブロックチェーンの技術を利用しており、デジタルアート作品に対して識別可能なコードを付与することで、唯一性のある固有のものとして判別できるようになります。
こうした技術が掛け合わされたNFTアート作品を、ユーザーは通信上で取引します。その取引の記録を詳細に「ブロック」に記録し、ユーザー間で共有して管理します。こうした記録・管理を実現できるのが、イーサリアムを含むブロックチェーンの技術です。
ユーザーが取引履歴を共有できるため、デジタルデータを編集するなどの手を加えたとしても、簡単に不正が見つかります。つまり、NFTアートは唯一性が担保でき、改ざんできないことが重要なポイントです。
取引履歴には、NFTアートの作成者や購入者などの情報が記録されます。作成者が記録されることで、NFTアート作品が本物であることを証明できたり、購入者が記録されることで、所有権が明らかになったりします。こうしたデータもブロックチェーン上で管理されるため改ざんできません。
NFTアート作品が注目される背景
こうした仕組みから、NFTアート作品は注目されています。あらためて整理すると、以下の点が特徴として挙げられます。
■NFTアートの特徴
- 唯一性、希少性を証明できる
- データを改ざんできない
- デジタルデータの作成者、所有者を記録できる
これまでデジタルアート作品は、インターネットの普及により、コピーが簡単にでき「希少性」を担保することは難しい状態でした。そのためアーティストや購入者が満足のいくような売買はできないことが当たり前でしたが、そこにNFTアート作品が生まれ、アート市場に変化が起きました。
NFTによりデジタルアート作品の作成者や購入者が記録され、改ざんや不正もできないため、希少性を保証できるようになります。こうした仕組みを使って、例えば有名人が所有していたものを二次流通において購入できたり、二次流通後もアート作品の作成者にお金が入ったりするメリットがあるのです。
NFTアートのメリット
NFTアートのメリットには以下のようなものがあります。
メリット1 改ざん不可のため唯一性の価値を保証できる
これまでのデジタルアート作品では保証できなかった「唯一性」「希少性」を、NFTによって担保できることがメリットです。
NFTは、ブロックチェーン技術を用いた非代替制トークンであることから、改ざんできず固有の価値を持つことができるようになります。NFTアート作品を購入すると、購入者の権利が取引履歴に記録され、ユーザー間で共有して管理され、いつでも証明できます。
NFTアートは、株や債権などと違い、購入者がアート作品を所有していることを実感できるだけでなく、価値も所有者や時間などによって変化します。まるで現物を所有する従来のコレクションのように、デジタルデータであるアート作品を売買できるようになるのです。
メリット2 アートオークションで誰でも購入・販売可能である
芸術作品のオークションには気軽に参加することが難しい側面がありますが、NFTアートの売買には誰でも参加できます。
NFTアートは、インターネット上の売買プラットフォームから出品・販売・購入ができます。イーサリアムなどの仮想通貨の準備さえできれば、誰でも購入者・販売者になれます。
具体的な出品方法、購入方法については後述します。
メリット3 将来的に価値が上がる可能性がある
NFTアートは、将来的に価値が上がる可能性があります。すでに「アート投資」として見ている人もいます。
価値の上昇を感じられるのは「二次流通」のタイミングです。実際に、Beeple氏が作成したアート作品「CROSSROAD」は、2020年10月に約600万円で初落札された後、2021年2月に約7億円で落札されました。このNFTアートが、前アメリカ大統領のトランプ氏を風刺した動画だったことで、大統領選挙の結果を経て、落札額が100倍以上の値段になっています。
このように、NFTアートは長期的に見て価値が跳ね上がる可能性があります。
NFTアートのデメリット
メリットの多いNFTアートですが、急に注目が集まったこともありデメリットもあります。
デメリット1 まだ法整備が十分にできていない
NFTアートが盛り上がり始めたのは2021年のため、取引上のルールや購入者の権利、著作権の問題など、法整備が十分でなく曖昧な部分が多く残されています。
ブロックチェーンの技術によって、複製や二次利用(配信)はできなくなっていますが、偽物のNFTアートが市場に出回っていることもあります。デジタルアート作品に「唯一性」を持たせることができることを悪用して、他人の著作物や作品を自分のものとして出品する「贋作」が特に問題となっているのです。
まだまだ安心して取引できない環境であるため、購入者は騙されないように注意が必要です。
デメリット2 ユーザー増加に合わせて手数料が高騰していく
イーサリアムブロックチェーンを利用して作られているNFTアートがほとんどですが、NFTアートの取引には「ガス代」が発生します。ガス代とは、イーサリアムを経由して契約する「スマートコントラクト」で発生する手数料です。
ガス代はユーザーの通信量に応じて高額になっていくため、2021年に入ってから急激に高騰しています。NFTアートが盛り上がり、ユーザーが増えていくと、ガス代である手数料が高騰していくでしょう。
デメリット3 価格変動が起き価値が大きく下がる可能性もある
市場規模の拡大が期待されているNFT市場ですが、今後価値が大きく下がる可能性もあります。現時点でNFTアートを「アート投資」といった投資対象として見ている人もいるため、株のような価格変動が起きると考えられるからです。
まだ新興市場であるNFTアートは価格変動が激しくなりがちです。いきなり高額投資をしてしまうと、価格が下がったときに大きな損失になりうる点がデメリットになるでしょう。
NFTアート作品の販売方法
NFTアート作品の販売方法を解説します。デジタルアートを作成したことがある方は、比較的簡単に作成・出品できます。
NFTアート作品の作成
まず、NFTアート作品を作成します。デジタルアートの作成方法と同じく、画像の場合はPhotoshopなどのツールを使って作成しましょう。
NFTアート作品の出品
次に、NFTアート作品を「NFT売買プラットフォーム」に出品します。手順は以下です。
- NFT売買プラットフォームに会員登録・ログインする
- 仮想通貨のウォレットを作成する
- ウォレットにNFTアート作品の売買に必要な仮想通貨を入金する
- NFT売買プラットフォームに出品するNFTアート作品の販売条件を入力する
- 出品するNFTアート作品をアップロードする
どのようなNFT売買プラットフォームがあるのかは後述します。
現時点で日本語に対応している代表的なウォレットは「MetaMask(メタマスク)」です。PC版とモバイルアプリ版があり、同期もできるので便利です。
ウォレットに入金する仮想通貨は、プラットフォームで採用されているイーサリアムなどの決済通貨を使用しましょう。
また、イーサリアムブロックチェーンを使用しているプラットフォームでは、契約時に「ガス代」がかかります。ガス代とは、イーサリアムを使うときに必要となる手数料です。「スマートコントラクト」という契約を行うときに発生し、ユーザーの通信量に応じてガス代は高額になっていきます。
出品できたら、NFTアート作品が売れて仮想通貨を得た場合に備えて、日本円に換金できる国内の仮想通貨取引所に口座開設をしておくことがおすすめです。よく利用されている仮想通貨取引所には「Coincheck(コインチェック)」や「bitFlyer(ビットフライヤー)」などがあります。
NFTアート作品の購入方法
NFTアート作品の購入方法をご紹介します。販売方法と同じように、「NFT売買プラットフォーム」上にて購入します。
- NFT売買プラットフォームにログインする
- 仮想通貨のウォレットを作成する
- ウォレットにNFTアート作品の購入に必要な仮想通貨を入金する
- NFTアート作品を購入する
NFTアート作品の購入にはイーサリアムなどの仮想通貨が必要です。国内の仮想通貨取引所で口座開設を行いましょう。作成したウォレットに必要な仮想通貨を入金できれば、NFTアート作品を購入できます。
主要なNFT売買プラットフォーム(NFTマーケットプレイス)
主要なNFT売買プラットフォーム(NFTマーケットプレイス)をご紹介します。
Coincheck NFT(β版)
Coincheck NFTは、仮想通貨取引所のCoincheckが運営している、仮想通貨取引サービスと一体となったNFT売買プラットフォームです。
Coincheck NFTの大きな特徴として、イーサリアムなどのブロックチェーンを基盤としていない「オフチェーン」のプラットフォームであるため、売買時にガス代がかからない点が挙げられます。コストを抑えられるメリットがある一方、Coincheckで口座開設が必要です。
β版のため取り扱いコンテンツは、NFTゲームのアセットとNFTトレカの4コンテンツですが順次追加される予定です。
■取扱いコンテンツ
- CryptoSpells
- The Sandbox
- Sorare
- NFTトレカ
■決済通貨
- イーサリアム
- ビットコイン など全13銘柄
■対応ウォレット
入庫元:MetaMask
出庫元:MetaMask、ERC721規格対応ウォレット
■対応ネットワーク
イーサリアム
OpenSea(オープンシー)
OpenSeaは、2017年12月にイーサリアムを基盤につくられた世界最大手の海外のNFT売買プラットフォームです。ユーザー数や出品数が多いことが特徴で、2021年8月の1カ月間だけでアクティブユーザーが約22万人にも上ります。
■取扱いコンテンツ
- デジタルアート
- ゲームアセット
- トレーディングカード
- デジタルミュージック
- ブロックチェーン・ドメイン
- ユーティリティトークン
■決済通貨
- イーサリアム
- MATIC(Polygon)
- Klaytn
■対応ウォレット
- MetaMask
- Torus
- Portis ほか
■対応ネットワーク
- イーサリアム
- Polygon
- Klaytn
- テゾス
Adam byGMO(β版)
Adam byGMOは、GMOアダム株式会社が提供するNFT売買プラットフォームです。日本円で取引できることが大きな特徴です。仮想通貨取引をしていない人でも、クレジットカードまたは銀行振込でNFTアート作品を購入可能です。β版のため一般クリエイターは出品できません。
■取扱いコンテンツ
- デジタルアート
■決済通貨
- イーサリアム
■対応ウォレット
- MetaMask
■対応ネットワーク
- イーサリアム
公式サイト:https://adam.jp/
Rarible(ラリブル)
Raribleは、アメリカのRarible社が提供しているNFT売買プラットフォームです。RARIという独自トークンを発行しており、総発行枚数の60%分がRaribleユーザーへのインセンティブとして配布されます。まだ国内取引所には上場していないため、海外取引所などを利用します。
■取扱いコンテンツ
- デジタルアート
- ゲームアセット
- フォトグラフ
- デジタルミュージック
■決済通貨
- イーサリアム
- WETH
■対応ウォレット
- MetaMask
- Torus
- Portis ほか
■対応ネットワーク
- イーサリアム
公式サイト:https://rarible.com/
SuperRare(スーパーレア)
SuperRareは、アメリカのSuperRare社が提供しているNFT売買プラットフォームです。審査をクリアしたトップクリエイターしか出品できないため、投資価値の高いアート作品が揃っています。また、購入したアート作品は二次販売が可能です。
■取扱いコンテンツ
- デジタルアート
■決済通貨
- イーサリアム
■対応ウォレット
- MetaMask
- Fortmatic
- Wallet Connect
■対応ネットワーク
- イーサリアム
公式サイト:https://superrare.com/
NFTアートの課題と将来性
現在注目を集めているNFTアートですが、現在の課題について知っておきましょう。
まず、NFTアートのデメリットの項目でもご紹介しましたが、法整備が不十分であることや、手数料であるガス代がかかることが課題です。偽物のNFTアートが広がってしまうとトラブルにつながります。今後ユーザー数が増加していき、通信量も急増していくことを考えると、ガス代が高騰し、NFTアートの購入のハードルが高くなることも考えられます。
そのほかにも、環境破壊といった問題もあります。これはブロックチェーンの利用で発生するものです。ブロックチェーンには莫大な計算・演算が発生するため、そのためのエネルギーや電力が必要となり、環境破壊へとつながると考えられています。
NFTには、こうした課題がある一方で、今後はアート以外にも価値を付けて取引できる可能性を秘めています。
まとめ|唯一性で価値を高められるNFTアート
NFTアートとは、デジタルアートとブロックチェーン技術を掛け合わせたもので、唯一性が担保されたアート作品です。絵や音楽以外にも、画像や映像などデジタルコンテンツであれば、出品・売買ができるようになります。
2021年に入って急に注目度が高まっているNFTアート。「ガス代」や「贋作」など注意すべき点もありますが、今後ますます市場規模が拡大していくでしょう。
本記事では「NFTアート」について解説しました。FinTechの基本情報やその他の応用分野について学びたい方は、FinTech(フィンテック)の概要解説もぜひ参考にしてください。
よくある質問
NFTアート作品とは、画像や動画などのデジタルアートに「NFT」と呼ばれる仕組みが掛け合わさった作品のことです。デジタルアート作品とNFTが紐づくことで、作品の唯一性が担保されます。
NFTは、基本的にはイーサリアムのブロックチェーン技術が活用されており、個々のデジタルデータに識別可能コードを付与することで、固有のものとして判別できるようになります。
大きなメリットとして挙げられるのが、NFTアートの仕組み上、作品の改ざんが不可のため唯一性の価値を保証できるということです。
法整備が十分にできていないことや、ユーザー増加に合わせて手数料が高騰していくこと、価格変動が起き価値が大きく下がる可能性もあることです。
OpenSea、Coincheck NFT(β版)、Adam byGMO(β版)などで売買可能です。
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