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この記事はKOMOJUが提供しています。
KOMOJU(コモジュ)は個人から世界的大企業まで様々な事業者が利用している日本の決済プラットフォームです。
1990年代後半から2000年代に生まれた「Z世代」は、生まれながらにデジタルやSNSに慣れ親しんでいるため、消費行動も他の世代と異なります。行動の特徴をつかむことが、Z世代への購買促進につながります。
本記事では、EC構築・運用サービスのBiNDecを提供している株式会社ウェブライフの代表取締役 山岡義正氏を招き、当社のAccount Executive 松岡将史とともに、デジタルネイティブなZ世代の購買行動と、Z世代向けのECサイトの構築・運営のポイントについて対談した内容を紹介します。
株式会社ウェブライフ
山岡義正氏(代表取締役)
2007年にウェブライフジャパンを設立し、EC構築・運用をサポートするShopifyに特化したサービス「BiNDec」を提供する株式会社ウェブライフの設立者及び、代表取締役である。
Shopify Premier Partner認定。これまでにPlus Partner of the Year、Plus Upgrade Partner of the Yearを受賞。
株式会社DEGICA
松岡将史(Account Executive)
ITと金融業界を中心に豊富な営業経験を持ち、特に顧客のニーズを深く理解し、最適なソリューションを提案する新規営業から、データ分析を駆使した既存顧客への事業・キャンペーン戦略の提案・実行まで幅広く対応。
現在KOMOJUでは、ShopifyのようなECプラットフォームを利用する事業者様などに、決済の観点からビジネスの成長を力強くサポートしています。
Z世代が他の世代と異なる点はなんでしょうか
日本でのZ世代の割合は15%(2022年)、世界では4人に1人(2020年)です。全世界での購買力は約15兆円と予測されており(参照:報告書 令和3年度コンテンツ海外展開促進事業)、経済的にも大きな影響力を持っています。Z世代は他の世代とどのような点が異なるのでしょうか。
Z世代はハイパーコネクテッドな世代
山岡氏:「Z世代はHyperconnected(ハイパーコネクテッド)な世代である」と伝えたのは、Shopifyの代表であるハーレー・フィンケルシュタイン氏です。ハイパーコネクテッドとは、さまざまなプラットフォームを介した相互の強いつながりのことです。実店舗、モバイルアプリ、SNSなど、あらゆるチャネルを組み合わせて、昼でも夜でもリアルタイムで外部の人やモノとつながります。
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Z世代は生まれたときからこの環境下にあるため、インフルエンサーの存在も非常に身近で、従来の消費者とは異なる感覚を持っているのが特徴です。彼らの文化を理解しないと、彼らの消費行動も予測できません。Z世代一人ひとりに合わせたアプローチを行うことで、購買価値が約1.5倍になったという事例も聞きました。
Z世代は従来の消費者とは異なる感覚を持ち、衝動的な行動を取ることも多いため、それを理解した上で適切なアクションを取る必要があります。実際に博報堂買物研究所による定量調査の中で「衝動買いをよくする」と答えたZ世代は37%で他の世代よりも7pt以上高い結果になっています。
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参照:博報堂買物研究所「Z世代×ニューコマース調査」
また、衝動買いのような突発的な行動を取ることもZ世代の特徴で、消費行動の予測が難しいこともあります。その場合は、AIに判断を任せてみるのも一つの方法かと思います。弊社でも、コンバージョンの確率が高いルートを業種別に導き出すようなプランをBiNDec MODELでも提供していきたいと考えています。ハイパーコネクテッドな購買層がどのような行動を取り、どのようなアクションにつながるのかを見極めることが求められていると思います。
情報収集能力が高く、購入体験を重視
松岡氏:Z世代の特徴といえば、情報収集能力が非常に高いことです。いろいろ調べた上で商品を購入します。そして、一度ファンになると長く愛用する傾向があり、そのワクワク感を他の人とも共有したいと考えるようです。「この商品を買ってよかった!」とSNSで広める行動が一例です。
ワクワク感を求めることから、単に物を買うのではなく、「体験を買う」という感覚が強いのかもしれません。Z世代が商品を知ってから購入後までの過程を考えることはとても大切です。「どんなプロダクトが、どんな人に届いてほしいのか」「どのような体験を提供したいのか」といった視点は、今後ECで商品を販売する上でも非常に重要になると感じています。
山岡氏:購入前の交流体験は弊社でも重視していることです。ECサイトの構築だけではなく、SNSなど外のツールの活用に注力して「おもしろい商品だな」と思ってもらうことが、Z世代とつながる第一歩となると思います。
Z世代の消費行動を意識したECサイトを作るためにおさえるべき点を教えてください
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Z世代はスマートフォンを主要デバイスとして使用しており、複数のチャネルとの接続や情報収集能力の高さが特徴です。そんなZ世代の消費行動を踏まえて、ECサイトはどのような点に注意して構築すべきでしょうか。
スムーズかつスピーディーなUXが重要
山岡氏:Z世代は情報収集能力が高い反面、忍耐力が低く、速くて効率がいいことを重視すると言われています。少しでも遅れたり、不便を感じたりすると、それだけで商品離れしてしまうことがあるようですね。
松岡氏:Z世代に対しては、スムーズな購入体験が非常に重要です。買いたいと思っているのに、最後の最後でローディング中のマークがずっと表示されて買えないとなると、購買意欲が高くてもカゴ落ちしてしまう可能性があります。
「Digital Commerce 360」の調査によると、若年層の消費者は他の世代と比べてカゴ落ちの割合が高いことが明らかになっています。特に「チェックアウトの手順が煩雑だった」という理由で購入を途中でやめた人の割合は、全体では9%だったのに対し、18歳から29歳の層では13%に上りました。(参照:ネットショップ担当者フォーラム)
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スムーズな購入体験、特に決済の場合はカートから注文完了までのページの遷移をいかに減らし、より多くの決済件数を処理できるかが重要なポイントです。決済処理能力の高さは、ECの売上を上げる一つの施策として考えるべきでしょう。
ブランドや商品の背景ストーリーを伝えること
山岡氏:Z世代は、商品の背景やストーリーに強いこだわりを持っています。例えば、お買い得品や高級ブランド品よりも、少し高いけれど職人がこだわり抜いて作り上げたものや、5,000人ほどの小規模なフォロワー数のインフルエンサーが努力して作り上げた製品など、裏側のストーリーに共感し価値を感じる傾向があります。
彼らにとっては、必ずしも安さや有名であることが重要なのではなく、「自分のコミュニティの中で認知されていること」が価値になるのです。
Z世代は環境問題への意識が非常に高く、エコフレンドリーやエシカル消費を重視する傾向があります。例えば、リサイクル素材を使用した商品や、環境に配慮した製造プロセスで作られた製品に強い関心を示しています。
また、ベイン・アンド・カンパニーが発表した「日本SDGs関連消費に関するZ世代消費者意識調査2023」によると、SDGs(持続可能な開発目標)への配慮が付加価値となっている商品・ブランド(SDGs商品)の購入経験があるのは、日本のZ世代の70%。そのうち66%がリピート購買をしています。さらに、SDGs商品を購入したことがあるZ世代の80%近くがプレミアム(割増金)を支払っています。
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画像引用:日経ESG スペシャルレポート
このような価値観の変化によって、ハイブランドの売り方も変わってくるでしょう。こだわりを持つ層にどうアプローチするかが、今後ますます重要になっていくと感じます。
松岡氏:ストーリーを伝える重要性は感じますね。ハイブランドへのこだわりがないということであれば、商品のストーリーの伝え方によっては認知度が低い商品もチャンスがあるということです。
Z世代向けECサイトの事業者へアドバイスをください
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Z世代向けのECサイトを展開する際はどのような点を工夫すれば良いのでしょうか。
SNSも活用してストーリーを伝える
山岡氏:SNSなどECサイト外でストーリーを発信し、ファンを作ることが大切です。商品のストーリーに初めて触れるのは、ECサイトではないと思います。SNSなどで一定数のファンが蓄積されれば、最終的に決済がどこでできるかは大きな問題ではなくなるでしょう。ECサイト自体はシンプルな作りで十分だと考えます。
YouTubeを見て購入するというコンバージョンの確率は、他のプラットフォームと比べてもかなり高いようです。リアルタイムでのやりとりよりも、完成された動画や画像のほうが日本では需要が高いのかもしれません。
SNSの閲覧後に商品の購入に至ったのは、Instagramが67.1%、YouTubeが64.6%という結果も明らかになっています(参照:株式会社Macbee Planet「Z世代の情報収集とメディア選択に関する実態調査」2023年)。
商品のストーリーの内容としては、エコフレンドリーやエシカル消費などを軸にしても良いかと思います。Z世代はSDGs(持続可能な開発目標)への関心が高いことも特徴です。商品の製造過程や原材料の調達方法などで環境や地域の活性化に配慮していることを示せば、より多くのZ世代の共感を得られるのではないでしょうか。
ECサイト外の決済方法を用意する
松岡氏:ECサイトの外のツールが重要であるという話が出ましたが、最近KOMOJUでは、リンク型決済というサービスを提供しています。KOMOJUの管理画面からリンクを発行し、それをユーザーに送れば、KOMOJUの決済ページへ誘導できる仕組みです。
SNSなどの商品紹介ページにこのリンクを貼ることで、ECサイト以外からの決済が可能になります。ボタンやURLをクリックするだけで購入画面に移動できるので、購買意欲が高いお客様の機会損失を減らせると考えています。ライブコマースとも掛け合わせてみたいですね。
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セール時のアクセス数に耐えうるシステムを整備する
山岡氏:「今月の販売可能な在庫は10個までです」みたいに数量限定の売り方をしているところもありますよね。そうすると、こだわりを持って作っているという点でさっきも出たZ世代に響くストーリー性もありますし、限定されている特別感もあります。
松岡氏:そうですね。ただ、少量販売は決済面からの不安点で言うと、セール時に一気に多くの人が集まることで、決済システムがダウンしないかということです。せっかくお客様が増えても、事業者様の売上につながらなければ意味がありません。セール時のトラフィック増加に耐えられるシステムが必要です。
実際に、KOMOJUをご利用いただいている事業者様の中には、売上拡大やセールの増加に伴い、別の決済代行会社から弊社に切り替えたケースもあります。
山岡氏:購入の競争が激しくなる場合は、決済対策は必要ですね。商品によって表示する決済方法を限定しているところもあるそうです。テストを重ねて最適な対策を見つけることが大切だと思います。
Z世代の変化に対応する
山岡氏:Z世代の特性は変化する可能性があるので、消費行動の仮説を立てるところからテストして結果を出すまでのサイクルを短期間で回す必要があります。
「どのタイミングで、どのような気持ちのZ世代が、どんな状況でコンテンツを目にするのか?」「 どのような投稿ならフォローにつながり、継続的なときめきを提供できるのか? 」などの答えを突き詰めて考えながらもすばやく実証することが、成功への鍵となります。Z世代の変化を見逃さないことですね。
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松岡氏:Z世代も歳を重ねていきます。いずれは、クレジットカードやQRコード決済といった異なる決済方法を使うようになるでしょう。事業者の方は現在の状況だけを見据えるのではなく、今後の広がりも視野に入れて、必要な決済方法を今のうちから取り揃えておいていただけたらいいのではないかと思います。
まとめ|Z世代向けのECサイトはスピーディな体験とストーリー性がカギ
Z世代向けのECサイトを成功させるためには、Z世代の特性を踏まえることが重要です。一つは、スムーズでスピーディーな購買体験の提供です。ECサイト外での決済方法の提供や、セール時のシステム強化が対策となります。
もう一つは、SNSを活用し、商品やブランドの背景にあるストーリーを効果的に伝えて興味を引くことです。エコフレンドリーやエシカル消費の要素など、Z世代で関心の高い要素を取り入れるのも良いでしょう。Z世代の消費行動の仮説検証を短期間で行っていくことも、彼らの興味を引くヒントを得るのに効果的です。
大切なのは、ECサイト作りそのものよりも特別な体験作りです。Z世代の特性に合わせた戦略を立て、より効果的なECサイト運営につなげていきましょう。
Z世代向けのECサイトの構築に関するご相談はウェブライフへご連絡ください。
ECサイトでのスムーズでスピーディーな購買体験や決済に関するご相談はKOMOJUにお気軽にこちらからご連絡ください。
山岡氏と松岡の他の対談を合わせてご覧ください:
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