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実店舗とネットショップはそれぞれにメリット・デメリットがあり、特徴を活かして連携させることで、より売上アップにつなげることができます。
本記事では、実店舗とネットショップの特徴や連携施策、注意点などをご紹介します。ネットショップと実店舗を併用しようと検討している事業者の方の参考になれば幸いです。
実店舗とネットショップとの違い
実店舗とは、商品を販売する物理的な店舗のことです。ネットショップとは、インターネット上で商品を販売するオンラインの店舗のことで、ECサイトとも呼ばれます。
実店舗とネットショップの違いは、顧客との接点や商品の見せ方などにあります。実店舗であれば、事業者は直接顧客と顔をあわせて接客ができ、顧客は商品を手に取ることが可能です。ネットショップは、顧客とのコミュニケーションも商品の確認もオンライン上になります。
| 実店舗 | ネットショップ |
販売場所 | 物理的な店舗 | インターネット上のサイト |
顧客との接点 | 顔をあわせる対面接客 | サイト・メール・チャットなど |
顧客による商品の確認 | 直接見る、手に取って触る | 写真・動画で見る |
購入体験 | すぐに持ち帰る | 後日受け取る |
商品の販促手法 | 店内の棚割、商品の陳列、ポップ、店内ディスプレイ | 商品ページのデザイン、ポップアップ広告、レコメンド機能 |
実店舗とネットショップの市場規模
実店舗とネットショップの市場規模を見てみましょう。
経済産業省の2023年のデータでは、小売業の販売額は163兆340億円と、前年比5.6%の増加となりました。小売業のなかでも、百貨店の販売額は5兆9,557億円で前年比8.1%の増加、スーパーの販売額は15兆6,492億円で前年比3.3%の増加、コンビニエンスストアの販売額は12兆7,321億円で前年比4.4%の増加でした。各店舗で販売額が増加しましたが、スーパーにおいては店舗数が増加したことも販売額を押し上げた要因となっています。

参照:経済産業省「2023年小売業販売を振り返る」(2024年)
次に、ネットショップの市場規模を見てみましょう。
経済産業省の2024年の電子商取引に関する市場調査では、2023年の日本国内の物販系分野のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は14兆6,760億円と、前年比4.83%の増加でした。ネットショップの導入も進んでおり、EC化率は9.38%と前年比0.25ポイントの上昇です。この変化は、インターネット環境の整備やスマートフォンの普及などが要因と考えられます。

参照:経済産業省「令和5年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」(2024年)
近年はインターネットの利用が進んでいるものの、実店舗の市場規模はネットショップの10倍以上にもなり、今もなお需要が高いことがうかがえます。
実店舗のメリットとデメリット

実店舗というビジネス形態は、ネットショッピングが主流になりつつある現代においても顧客ニーズが根強く、独自の魅力や価値を持っています。その反面、運営には課題も伴います。実店舗のメリット・デメリットを見てみましょう。
メリット1:顧客とコミュニケーションがとりやすい
実店舗では、顧客と直接顔を合わせて会話する機会があります。例えば、アパレルショップのスタッフなら、顧客の好みをヒアリングしながら似合うコーディネートを提案することができます。ネット上でも似合う服の診断はでき、レビューも参考になります。しかし、本当に自分に合ったものかどうかを見極めるには、実際に商品に触れプロからアドバイスをもらうことが有効です。特に購入を本気で考えている顧客には、対面でのコミュニケーションが適しているでしょう。
メリット2:商品をリアルに確認でき、返品率を抑えられる
実店舗ならではの強みは、商品を実際に確認できることです。例えば、家具店ではソファに座ったり材質を確認したりでき、化粧品店ではテスターで肌の色味に合った商品を選ぶことができます。商品を体感した上で購入するため、オンラインでの購入に比べて返品率が低い ことも特徴です。高額商品を扱うビジネスにおいて大きな強みとなるでしょう。
メリット3:配送の負担が少ない
実店舗では、購入後に顧客がすぐに商品を持ち帰ることができるため、配送の手間やコストを抑えることができます。顧客にとっても配送待ちによるストレスが解消され、緊急時のニーズにも合っていることはメリットです。持ち運びが難しい大型の商品など、商品を限定して配送サービスを導入することもできます。
メリット4:返品・交換対応が容易にできる
商品に不具合があった場合でも、顧客は直接店舗に商品を持ち込むことでスムーズに返品や交換ができます。ネットショップの返品のように、顧客が郵送のための梱包を行ったり、店が送料を負担したりする必要がありません。商品が機械でもその場で動作確認を行い、不良品の場合はすぐに新品と交換することが可能です。
デメリット1:営業時間が限られる
実店舗は店員が稼働する必要があり、基本的に営業時間が決まっています。そのため、顧客が自由に利用できる時間が限られてしまいます。例えば、朝10時から夜8時までの店は、仕事で忙しい顧客にとっては利用しづらい場合があります。ターゲットの利用時間と営業時間が合っていないと、集客が難しくなるでしょう。
デメリット2:立地が大きく売上を左右する
実店舗の売上成長は立地に大きく依存します。例えば、駅前のように人通りが多いところであれば、物件の賃料が高いという面もありますが集客を期待でき、売上の伸びも見込めます。また、その土地に住んでいる層のニーズに合った商品かどうかも、集客に影響するポイントです。
デメリット3:出店コストが高い
実店舗の出店には、初期投資が必要不可欠です。例えば、飲食店を新規開業する場合、テナント料、内装費、設備投資、人件費などがかかります。さらに、広告費やオープンイベントの費用も、場合によっては必要になります。開業時の資金調達額は平均1,180万円であり(参考:2023年度新規開業実態調査)、ローンを組まなければならないほどコストがかかるのが一般的です。
ネットショップのメリットとデメリット
ネットショップは、近年ますます重要性を増しているビジネスモデルの一つですが、このビジネス形態にも特有のメリットとデメリットがあります。ネットショップのメリット・デメリットをご紹介します。
メリット1:時間や場所に影響されない
ネットショップの最大の強みは、24時間365日どこからでも利用できる点です。実店舗ではカバーできない深夜や早朝などの時間帯でも、売上を確保できます。また、地理的な制約がないため全国や海外の顧客にもリーチでき、売上拡大のチャンスが広がります。
メリット2:初期費用や固定費が比較的抑えられる
ネットショップの開業には、実店舗と比較して初期費用が低いという大きな利点があります。ネットショップを作るためのECプラットフォームの中には、月額数千円程度で利用できるものもあります。また、テナント料や光熱費が不要なため、固定費を大幅に削減できるのも魅力です。少額の資金でもビジネスをスタートできます。
デメリット1:顧客と対面でのコミュニケーションができない
ネットショップでは顧客と直接対話する機会がないため、信頼関係を築くのが難しい場合があります。チャットサポートやFAQページを充実させることもできますが、顔が見えないことに不安を感じる顧客もいます。実店舗も併せ持つことで、顧客は自身に合ったサービスを選ぶことができるでしょう。
デメリット2:商品の画像などを工夫する必要がある
ネットショップでは、顧客が商品を実際に手に取ることができないため、画像や動画など視覚的な情報を工夫しなければなりません。たとえば、服の商品ならさまざまな角度から撮った写真や、モデルが着用している動画などが考えられます。プロのカメラマンを雇って撮影するとなると、コストの負担が大きくなります。また、肩幅や袖丈などの長さ、肌ざわりなど、詳細な情報を説明文に盛り込む必要があります。
デメリット3:価格競争に巻き込まれやすい
ネットショップは競合他社との価格比較が容易であるため、価格競争に巻き込まれやすいのが課題です。特に、Amazonのような大手ECモールに出店している場合、同一商品を取り扱う他店舗との競争により、利益率の低下を招くことがあります。プラットフォーム手数料や送料を差し引くと、利益がほとんど手元に残らない可能性もあるでしょう。これを避けるためには、顧客に選ばれる独自性のある商品展開や付加価値の提供が求められます。
実店舗の売上低迷につながる要因
小売業の売上は2023年において前年より増加していますが、以下のような要因により実店舗の売上が低迷する可能性があります。
スマホデバイスの普及
スマートフォンやタブレットなどのデバイスが広く普及したことで、消費者はいつでもどこでもオンラインで商品を検索・購入できるようになりました。この利便性の向上により、従来の実店舗での購買からオンラインショッピングへとシフトする傾向が強まっています。
総務省の調査によると、モバイル端末の世帯保有率は2023年で97.4%で、そのうちスマートフォンは90.6%と過去最高に達しています。さらに、スマートフォン経由のEC市場も急速に拡大しています。経済産業省の調査によれば、2023年の物販系ECにおけるスマートフォン経由の取引額は8兆6,181億円で、前年比10.0%の増加でした。これはEC市場全体の58.7%を占めており、スマートフォンがEC市場の主役となっていることを示しています。
コロナ禍でのネットショッピングの普及
ショールーミングの増加
ショールーミングとは、消費者が実店舗で商品を実際に確認した後、オンラインでより低価格の商品を購入する行動を指します。
2019年時点の調査で、ショールーミングの経験割合は東京が62%、ほかのアジア都市はいずれも80%以上であることが明らかになっています。この行動の増加により、実店舗は商品の展示や体験の場として利用される一方、実際の購買はオンラインで行われるケースが増え、実店舗の売上低下の一因となっています。
実店舗とネットショップをつなぐOMO
近年、実店舗とネットショップの連携を深める「OMO(Online Merges with Offline)」が注目を集めています。この概念は、実店舗とネットショップで得た顧客データを統合することでオンラインとオフラインの境界をなくし、顧客体験を向上させるものです。
例えば、アプリで購入したものを近くの店舗に取りに行ったり、店頭でもらったクーポンをネットショップで使ったりすることが一例です。この取り組みは、小売業だけでなく飲食サービス業など多様な分野に拡大しています。
以下で実店舗とネットショップを連携させる効果的な施策をご紹介します。
実店舗とネットショップの連携施策とメリット
消費者の購買行動がデジタル化するに伴い、実店舗とネットショップをシームレスにつなぐことで顧客体験を向上させ、売上の最大化を目指すことができます。ここでは、具体的な連携施策とそのメリットを解説します。
ネットショップで注文したものを実店舗で受け取り可能に
「クリック&コレクト」「BOPIS(Buy Online Pick-up In Store)」とも呼ばれるこの施策は、ネットショップで注文した商品を顧客が実店舗で受け取れる仕組みです。顧客に送料負担がかからないうえに、都合の良いタイミングで来店して商品を受け取ることができます。また、商品の受け取り場所が実店舗だった場合、来店時に他の商品の追加購入が期待できます。
店舗に在庫がなくてもネットから注文できるようにする
実店舗に在庫がない場合、ネットショップ経由で注文できる仕組みを導入することも効果的です。欠品による販売機会の損失を防ぐだけでなく、店舗面積に関わらず豊富な品揃えを提供することができます。店舗スタッフがスムーズに顧客対応できることから、顧客満足度の向上も期待できるでしょう。
ネットショップまたは実店舗限定商品を作る
ネットショップと実店舗のどちらかでしか購入できない限定商品を用意することで、両方のチャネルに誘導できます。例えば、化粧品ブランドが「実店舗限定カラー」や「ネット限定セット商品」などを売り出す取り組みです。限定感を演出しながら顧客の購買意欲を引き出すことがポイントです。
キャンペーンやクーポンで実店舗に誘導
ネットショップ利用者を実店舗に誘導するには、店舗で使用可能なクーポンやキャンペーンを活用するのが効果的です。例えば、ネットショップで一定額以上購入した顧客に「実店舗で使える割引クーポン」を提供することで、実店舗へ足を運ぶきっかけを作ることができます。さらに、店舗来店時にネットショップ未登録の顧客にオンラインストアの登録を促すことで、両チャネルの効率的な活用が可能です。
実店舗とネットショップの連携の注意点
実店舗とネットショップをつなぐOMO施策を実施するにあたって、以下の点に注意してください。
データの一括管理
実店舗とネットショップを連携させる際には、在庫管理や販売データの一元化が欠かせません。貯まったポイントをどちらでも使えるようにしたり、実店舗での在庫切れが発生してもネットショップから買えたりするなどして、販売機会損失を防ぎます。さらには、スタッフ間の業務連携がスムーズになり、顧客対応や出荷作業の効率向上も期待できるでしょう。
決済代行サービス「KOMOJU」が提供する決済端末、「KOMOJUターミナル」を利用すれば、実店舗とネットショップの決済情報を統合し、効率的なデータ管理が可能です。
商品価格やプロモーションの連携
顧客が実店舗とネットショップのどちらも利用しやすくなるように、同一商品は価格をそろえておくのが無難です。ネットショップは配送料がかかりますが、人件費は実店舗ほどかかりません。経費を調節し、価格差が出ないようにしましょう。
一方で、プロモーションは各チャネルの特性に応じた施策を取り入れると効果的です。例えば、ネットショップで実店舗限定セールのお知らせを流したり、実店舗でネットショップ専用アプリの登録を促したりするなど、連携した施策を通じて相乗効果を生み出します。実店舗とネットショップのスタッフが、両方の施策を共有しておくことも大切です。
まとめ|実店舗とネットショップの連携がビジネスを促進
実店舗とネットショップの違いやメリット・デメリット、OMO・連携施策などをご紹介しました。
近年はネットショップの利用者が増えているものの、実店舗の需要も依然として高いです。それぞれの特徴を活かすことで、顧客の購買体験や満足度の向上、さらには新規顧客開拓の可能性も高まります。
実店舗とネットショップの連携施策を行い、よりビジネスを拡大していきましょう。

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