サブスクリプションとは?仕組みやメリット、事例について解説
目次
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サブスクリプションとは?
サブスクリプションとは、定額料金を支払うことで、商品やサービスを一定期間利用できるストック型ビジネスモデルです。
商品の代金やサービス利用料を毎回請求するのではなく、継続的に定額を支払う仕組みになります。料金を支払っている期間は自由に商品やサービスを利用でき、契約が終了すると利用できません。
サブスクリプションは、「所有」ではなく「利用」をするビジネスモデルで、消費者は生活に合わせたサービスの提供を受けられるようになります。
サブスクリプションと「定額制」「リース」の違い
サブスクリプションと似たビジネスモデルに、「定額制」と「リース」があります。
定額制とは、毎月定額を支払い、商品やサービスを受け取るビジネスモデルです。サブスクリプションとは近い意味合いで使われます。特に、サブスクリプションは顧客満足度の向上のためにサービスを改善し続けることが特徴となります。
一方、リースとは、月々の料金を支払うことで長期間利用できるサービスです。月額利用料を支払う点ではリースとサブスクリプションは同じです。ただ、リースと聞いて思い浮かべる「カーリース」と「車のサブスクリプション」で比較すると、カーリースは7〜9年など長期間が前提とされた契約内容になっていたり、取り扱い車種やプランがリース会社によって異なっていたりします。自社メーカーが提供するサブスクリプションのほうが低額で利用できることもあるのです。
サブスクリプションと「リカーリング」の違い
サブスクリプションと混同されやすいビジネスモデルに「リカーリング」があります。サブスクリプションサービスでは料金が定額に設定されていますが、リカーリングは従量課金であるのが一般的です。
サブスクリプションの本質
定額制とリースの違いから分かるとおり、サブスクリプションモデルの本質は、定額料金を支払いサービスが利用できる仕組みにあるわけではなく、利用する顧客のニーズや課題に合わせて価値を提供し続けるという部分にあります。
常に顧客ニーズを把握し、提供サービスを改善・アップデートしていくことが求められるので、結果的に顧客の長期に渡る契約継続につながります。
サブスクリプション型ビジネスの市場規模
近年サブスクリプションサービスの利用者が急増していますが、国内の市場規模はどのくらい成長しているのでしょうか?
図表1 サブスクリプションサービス国内市場規模(7市場計)推移・予測
画像引用:サブスクリプションサービス市場に関する調査を実施(2023年) | 矢野経済研究所
矢野経済研究所の調査によると、国内サブスクリプション型ビジネスの市場規模は年々上昇しています。2024年は消費者の支払額ベースで、前年度比104.2%の9,831億円で、2025年は前年度比102.9%の1兆118億円と予測されています。
現在のサブスクリプションサービスは、デジタルコンテンツと家電・家具類の定期宅配サービスが好調です。2020年に新型コロナウイルス感染症が拡大したことにより生活様式や働き方が変化し、一気に利用が拡大しています。
また、世界の動画配信市場の契約数の推移を見ても、定額制サービスとしての契約数や売上高が増加ペースにあります。同様に、有料音楽配信サービスでも、ダウンロード課金型よりも、サブスクリプションモデルが拡大しています。
世界の動画配信市場規模・契約数の推移及び予測
画像引用:総務省『令和4年版 情報通信白書』
世界の音楽配信市場規模・契約数の推移及び予測
画像引用:総務省『令和4年版 情報通信白書』
このように、スマートフォン向けのサービスが急拡大する中で、ダウンロード課金型よりもサブスクリプション型のほうが利用者が拡大すると見込まれています。
サブスクリプションの仕組み
サブスクリプションの仕組みを簡単に説明します。まず、利用者が月額定額の利用料金を支払うことでサービスが利用できるようになる「利用権」を購入します。その利用権に対し、事業者はサービスを提供します。利用者が解約・退会するまでサービスは利用できます。
一方の買い切り型の場合は、消費者が商品を購入し「所有」します。事業者は商品が購入されるとサービスを提供します。一度購入すると商品・サービスは利用者のものになります。
買い切りとは違いサブスクリプションの場合、事業者は複数の料金プランやオプションを用意し、利用者の満足度を高め解約率を下げることがビジネスのポイントです。
利用者のデータをもとに、使用量やニーズを把握し、サービス改善を続けます。これにより、利用者との信頼関係を強化させていき、長期的に利用してくれる状態をつくっていきます。
サブスクリプション型ビジネスの事例
さまざまなサービスで広まっているサブスクリプションですが、具体的なサブスクリプション型ビジネスの事例をご紹介します。
エンタメ(音楽・動画・漫画)
月額980円など定額料金を支払うことで、何曲も音楽が聴き放題になるサービスがあります。音楽だけでなく、動画や漫画が見放題になるビジネスが増えてきています。
例えば、音楽配信サービス「Apple Music」や「Spotify」、動画配信サービス「Netflix」や「Hulu」、「Amazonプライム・ビデオ」、漫画読み放題サイト「FODマガジン」や「コミックDAYS」などがあります。
共通するのは、無料トライアル期間を設けたり、サービス独自のコンテンツを投入するなど、利用者の解約を防ぐような取り組みが行われていることです。
食品(サプリ含む)
食品やサプリメントが定期的に届くサービスがあります。月額料金を支払うことで、調理された食品が届くものもあります。
例えば「Oisix」や「nosh」などは、食材や手料理キットが宅配で届きます。オーダーメイドのサプリメントが届く「サプスク」や「FUJIMI」なども利用者が増えています。
ファッション
洋服をサブスクリプションで利用できるサービスがあります。手頃な金額でいろいろな洋服を楽しむことができ、クローゼットがすっきりと片付くことで人気です。
気に入った洋服は割引価格で購入できたり、一定期間借り続けたものは自分のものにできるサービスもあります。
例えば「airCloset」や「Rcawaii」、「MECHAKARI」などがあります。
ソフトウェア
ソフトウェアにもサブスクリプションモデルがあります。デザインやドキュメントなどが利用できるソフトウェアでも、月額定額で料金を支払うことで使うことができます。
例えば「Adobe Creative Cloud」や「Microsoft 365」などがあります。
自動車・自転車
自動車や自転車も月額定額で利用できるサービスがあります。選んだ自動車・自転車を所有することなく使用できるのが特徴です。使いたいときだけ使えて便利と、人気が高まっています。
例えば自動車では「KINTO」や「オリックスカーリース」、「タイムズカー」、「カルモ」、「SmartDrive Cars」などがあります。自転車では「sneecle」や「cycloop」、「CycleTrip BASE」などがあります。
家具・家電、住居
家具・家電も期間を選んで利用できるサブスクリプションサービスがあります。また新たに、多拠点居住サービスも注目を集めています。テレワークが定着しはじめ、自宅で過ごす人が増える中、都心部から離れた拠点を利用したいというニーズが高まっているのです。
例えば家具・家電の場合、「CLAS」や「subsclife」、「airRoom」などがあります。多拠点サービスでは、「ADDress」や「HafH」、「Hostel Life」などがあります。
サブスクリプションのメリット
サブスクリプションのメリットを、事業者目線と利用者目線で解説します。
事業者にとってのメリット
事業者にとってサブスクリプションは、継続的な売上を見込めたり、買い切り型よりも購入ハードルを下げられたり、さまざまなデータを取得できるなどといったメリットがあります
メリット1. 継続的な売上を見込める
サブスクリプションであれば月額利用料が継続的に入ってくるため、安定した利益を得ることができます。「利用者数×月額利用料」で売上が計算できるため、売上や利益を試算しやすいのも特徴です。
売り切り型のサービスや売上が変動するような商品の場合は、売上の試算が難しく事業への投資に踏み切る判断が難しいこともあります。しかしサブスクリプションであれば、売上や利益を試算でき、より利用者が求める機能やサービス内容へと改善しやすくなります。
メリット2. 新規ユーザーの獲得がしやすい
サブスクリプションの場合、買い切りよりも購入ハードルが下がり、新規ユーザーの獲得につながりやすくなります。購入ハードルが下がることで、利用者が増え売上が増加していきます。
例えば多くの音楽を1曲ずつダウンロードして購入するよりも、聴き放題サービスに加入するほうが少額になる場合がほとんどです。また、初月無料や3カ月無料といったキャンペーンを打ち出すことにより、さらに新規ユーザーを獲得しやすくなるという特徴もあります。
メリット3. さまざまなデータ取得でサービス改善へとつながる
消費者が月額課金でサービスを利用契約するため、事業者は利用履歴データなどを長期間にわたって収集することができます。蓄積されたデータを活用して、より最適なサービスへと改善していき、満足度を高めて解約率を下げることにもつながります。
先にサブスクリプションの特徴として、顧客ニーズを把握し、常にサービスを改善していくことが求められると挙げましたが、取得できたデータがサービス改善に大きく寄与するのです。
利用者にとってのメリット
続いて、利用者にとってのサブスクリプションのメリットを解説します。利用コストを抑えられたり、管理コストが下がったりすることがメリットになります。
メリット1. 利用開始のハードルが低く、利用コストも抑えられる
サブスクリプションのサービスには、トライアルやお試し期間があるケースが多く、試しやすいのが特徴です。利用者にとっては、利用開始のハードルが低いことがメリットです。
サービスを利用するたびに料金を支払う必要がなく、月額定額で自動課金などが利用できるため、料金面でも支払い面でもコストを抑えることができます。
メリット2. 購入・所有する必要がなく、管理コストが下がる
サブスクリプションはサービスを購入・所有するわけではありません。自宅に物が増えることがないので、管理コストを下げることにつながります。
デジタルコンテンツだけでなく、家具・家電などもサブスクリプションサービスで利用できます。毎月定額を支払って、不要になれば返却・交換すればよいので、手軽に試すことができます。
また、いつでも解約できることもメリットです。サービスサイトから解約・利用停止するだけで、すぐにサービス利用をやめることができるので、気軽に利用しやすいといえます。
メリット3. レコメンドにより新たなコンテンツに出会える
特に音楽・動画配信サービスの場合、利用者の履歴データに基づき、コンテンツをレコメンドしてくれます。ほかのおすすめコンテンツにより、知らなかったコンテンツとの出会いが生まれます。
サブスクリプションのデメリット
サブスクリプションのデメリットを、事業者目線と利用者目線で解説します。
事業者にとってのデメリット
事業者にとってサブスクリプションのデメリットは、利益が出るまでに時間がかかることや、満足度を高めるためにサービス改善し続ける必要があること、ブランド価値が下がるケースがあることなどが挙げられます。
デメリット1. 利益が出るまでに時間がかかる
サブスクリプションというビジネスモデルの性質上、サービス開始当初はすぐに利益が上がりにくいのがデメリットです。利用者数が増加していくことで、利益の増大につながります。
このため、サービス開始時に必要なコンテンツやリソースのための初期投資を回収するのに、時間がかかることをあらかじめ理解しておく必要があります。
デメリット2. 満足度を高めるサービス改善をし続ける必要がある
利用者の満足度を高めることで、サブスクリプションはサービス利用を継続してもらうことができます。したがって、常に利用者のデータを見ながら満足度を高めるような改善をしていくことが求められます。
短期間で解約されないように、サービスやコンテンツの質や量を担保していく必要があるでしょう。事業者としては、常に新鮮な魅力やコンテンツを取り入れ、提供できる体制を整えることが重要です。
デメリット3. ブランドが傷つくケースもある
サブスクリプションによって、単体であれば高価なサービスが、安価で利用できるようになるため、これまでのブランドや価値を傷つける可能性もあります。
例えば自動車のサブスクリプションの場合、高級車でも月額定額で利用できるようになると、利用者が感じるありがたみや価値が下がってしまうこともあるかもしれません。目先の利益ばかりを追うことのないような事業設計が必要です。
利用者にとってのデメリット
利用者にとっては、利用していなくても料金が発生してしまうこと、解約するとサービスが利用できなくなること、多くのサービスを契約すると結果的に費用がかさむことがデメリットです。
デメリット1. 利用していなくても料金が発生する
サブスクリプションサービスは月額料金を継続的に支払う仕組みのため、サービスを利用していなくても毎月決まった日に課金されます。サービスごとの月額費用が少額であることが多いため、解約することを忘れてしまう利用者もいるでしょう。
デメリット2. 解約するとサービスを利用できなくなる
買い切りの場合は製品やサービスを所有できるため、ずっと利用し続けることができますが、サブスクリプションの場合は解約すると利用できなくなります。利用権にお金を支払っているだけで、サービスの所有に支払っていないことが一般的なので、契約期間が終了すればサービスは利用できません。
デメリット3. 多くのサービスを契約して結果的に費用がかさむ
サブスクリプションサービスは月額費用が少額のものも多く、いつの間にか多くのサービスを契約してしまい、結果的に費用がかさむことがあります。
また、自分の興味のないサービスへの課金が含まれていることもあり、サービスを十分に生かしきれていないと、実質的に必要以上の費用を支払っていることにもなるでしょう。
サブスクリプション管理システムの活用
事業者や利用者にとってメリットの多いサブスクリプションですが、事業者がサブスクリプションモデルを取り入れる場合、管理システムの利用がおすすめです。
サブスクリプション管理システムとは、定期的な請求の管理業務を省力化・自動化するシステムのことです。
定期請求・決済を自動処理できるようになるため、利用者への適切な料金・回数での請求が可能になるだけでなく、サービス改善や利用促進などにもつなげることができます。さらには人的ミスの削減の効果もあります。
基本的な機能として、利用者の契約内容に応じた適切なタイミングでの自動請求処理ができ、利用者ごとの支払い情報の変更やプラン変更などの管理が可能です。
詳細の機能や具体的なシステムについては、こちらの記事をご覧ください。
まとめ|継続的な売上を見込めるサブスクリプション
今回は、サブスクリプションの仕組みや特徴、具体事例、事業者と利用者のメリット・デメリットをご紹介しました。
継続的な売上を見込め、新規ユーザーの獲得にもつなげやすいサブスクリプションモデルは、さまざまなサービスに適用できます。ただし、利益が出るまでに時間がかかること、事業設計を間違えるとブランドを損ねる可能性があることには注意が必要です。
サブスクリプションモデルを導入するのであれば、サブスクリプション管理システムの活用がおすすめです。定期請求・決済を自動化できるので、ミスなく効率的に運営できます。
KOMOJUのブログでは「サブスクリプション」以外にもオンライン決済に関するサービスの導入についてさまざまなトピックをご紹介していますので、ショップ運営の参考にしてください。
よくある質問
サブスクリプションとは、定額料金を支払うことで、商品やサービスを一定期間利用できるストック型ビジネスモデルです。SpotifyやNetflixから、Oisixなど様々なサブスクリプション型のサービスがあります。
様々な業界に事例が存在します。例えばエンタメ業界ではApple MusicやNetflix、食品業界ではOisixやnosh、ファッション業界ではairClosetやRcawaiiが事例として挙げられます。
事業者にとってサブスクリプションは、継続的な売上を見込めたり、買い切り型よりも購入ハードルを下げられたり、さまざまなデータを取得できるなどといったメリットがあります。
事業者にとってサブスクリプションのデメリットは、利益が出るまでに時間がかかることや、満足度を高めるためにサービス改善し続ける必要があること、ブランド価値が下がるケースがあることなどが挙げられます。
サブスクリプションの仕組みは、まず利用者が月額定額の利用料金を支払うことでサービスが利用できるようになる「利用権」を購入します。その利用権に対し、事業者はサービスを提供します。利用者が解約・退会するまでサービスは利用できます。
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