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KOMOJU(コモジュ)は個人から世界的大企業まで様々な事業者が利用している日本の決済プラットフォームです。
訪日外国人の数が過去最多を更新し続けるなか、小売・飲食・観光業ではインバウンド需要に対応した店舗づくりが求められています。
特に課題となっているのが、支払いの場面です。日本ではキャッシュレス決済の比率が約4割にとどまっており、韓国や中国の8〜9割超と比べると大きな開きがあります。そのため、観光地でも「いつもの決済手段が使えなかった」「現金しか対応していない」といった声が多く寄せられています。
本記事では、そうした実情をふまえ、訪日外国人の主要な決済手段や導入のポイント、活用できる補助金制度など、キャッシュレス導入に役立つ情報をまとめて紹介します。
過去最多の訪日外国人、急務となるインバウンド対応
2024年の訪日外国人数は年間約3,700万人と過去最多を記録しました。2025年の1月から4月までの統計でも各月で過去最多数を打ち出しており、今後もさらなる訪日外国人数の増加が見込まれます。(出典:日本政府観光局(JNTO)、2025年6月)。
▼月別訪日外国人数の推移

画像引用:株式会社JTB総合研究所(2025年6月)
コロナ禍の入国制限が解除された後、訪日ニーズは急回復し、アジア圏を中心にリピーターも増加しています(出典:観光庁、2024年5月)。日本政府は観光立国の実現に向けた取り組みを再加速しており、2030年までに訪日外国人旅行者数を6,000万人に拡大するのが目標です。
こうした流れを受け、観光・宿泊・小売業では決済環境の整備など、インバウンド対応の強化がこれまで以上に求められています。
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訪日外国人が決済で戸惑う場面
訪日外国人が急増する中、「いつも利用している決済手段が使えない」「どう支払えばいいかわからない」といった場面はいまだに多く見られます。
観光庁が訪日外国人旅行者を対象に行った2023年度の調査(2024年6月発表)では、「クレジットカード・デビットカードでの支払いに困った」と答えた人が7.0%でした。さらに「モバイルペイメントなどの決済手段で困った」と答えた人も4.8%にのぼり、2019年から2.2ポイント上昇しています。
実際に、以下のような声が訪日外国人旅行者から多く聞かれます。
- 観光地や飲食店では、キャッシュレス非対応だった
- 使えると思った決済方法がレジで拒否された
- 案内表示が日本語だけで、決済方法がわからなかった
こうした体験は、「日本では買い物しづらい」といった印象に直結する恐れもあります。せっかく商品やサービスに興味を持ってもらっても、支払えないことで機会損失が生まれる可能性があります。インバウンド需要を取り込むなら、キャッシュレス決済への対応が欠かせません。
キャッシュレス決済の普及で後れをとる日本
キャッシュレス決済とは、クレジットカード決済やQRコード決済など、現金を使わずに支払う決済方法を指します。日本では近年、政府の後押しもありキャッシュレス決済の普及が進み、2024年には決済比率が42.8%と10年で2倍以上に伸びました(出典:経済産業省、2025年3月)。一見すると大きな前進に見えますが、国際的に見るとまだ低水準にとどまっているのが実情です。
▼主要国におけるキャッシュレス決済比率(2022年)

画像引用:一般社団法人キャッシュレス推進協議会『キャッシュレス・ロードマップ2024』(2024年12月)
たとえば、2022年時点の国別キャッシュレス比率を比較すると、韓国は99.0%、中国は83.5%と、ほぼ現金を持たずに生活できるレベルにまで浸透しています。これに対し、日本では依然として現金を基本とする店舗やサービスが多く、特に地方や中小事業者ではキャッシュレス未対応のケースも少なくありません。
インバウンド対応ではキャッシュレス決済導入が重要

インバウンド対策として、キャッシュレス決済の導入が急務となっています。日本では現金が使われることも多いですが、キャッシュレスが普及している国からの観光客にとっては、「日本は支払いが不便な国」という印象を与えかねません。キャッシュレス決済は日本円の両替が不要で、残高を気にせず買い物できるため、訪日外国人にとってなくてはならない手段です。
また店舗側にとっても、キャッシュレス化には売上拡大や業務効率化といった複数のメリットがあります。現金による釣り銭間違いや盗難リスクが減るほか、高単価商品や複数点購入が促進されたり、滞在中のリピートにもつながったりする可能性があります。2024年の訪日外国人のクレジットカード決済額は、コロナ禍前である2019年の1.5倍以上になったとのことです。
こうした結果からも、キャッシュレス決済の導入は費用以上の効果が見込める施策であり、インバウンド需要を確実に取り込むための対応策といえます。
インバウンドの国別ランキングと主要なキャッシュレス決済方法
では実際に、どのキャッシュレス決済手段に対応すべきなのでしょうか。以下は、2024年の訪日外国人の国別ランキングです。
▼国・地域別訪日外国人数(2024年)

画像引用:株式会社JTB総合研究所(2025年6月)
- 1位 韓国:約881万人
- 2位 中国:約698万人
- 3位 台湾:約604万人
キャッシュレス決済の普及率は、韓国で99.0%、中国で83.5%(2022年)と非常に高い割合です。台湾でも2021年にはモバイル決済が72.2%普及しおり、2025年までに90%の普及率を目指しています(出典:一般社団法人キャッシュレス推進協議会「キャッシュレス・ロードマップ2024」2024年12月)。
こうした背景を踏まえ、まずは訪日外国人数上位3ヶ国の旅行者がよく利用する主要な決済手段を見ていきましょう。
韓国の主要なキャッシュレス決済方法
韓国はスマートフォン普及率が約95%(2018年)と世界一を誇る国です。政府によるキャッシュレス推進策の後押しもあり、2022年時点のキャッシュレス決済普及率は99%に達しています。なかでもQRコード決済などのモバイル決済市場は、2024年に約407億ドル、2029年には630億ドル超に達するとの見込みです。

韓国最大のモバイル決済サービスです。メッセンジャーアプリ「Kakao Talk」のウォレットから支払いができます。QRコード決済をはじめ、送金、保険、投資、資産管理といった多様な金融機能を一つのアプリで完結できます。日本ではPayPayの加盟店でも使用可能です。

オンラインと店舗での決済ができるモバイル決済サービスです。韓国にあるほぼすべての銀行やクレジットカードと連携できます。特にToss Bankは韓国人でなくてもオンライン口座の開設ができるため、他の国の人でも利用しやすいです。資産管理や公共料金の支払い、送金、クレジットスコアの確認など、生活に密着した金融サービスが充実しているのも特徴です。

韓国最大の検索ポータル「NAVER」から提供されている決済サービスです。オンライン・オフライン問わず広く使われ、ショッピング利用でポイントが貯まるなどさまざまなプロモーションにも対応しています。Samsung Payとも連動したことで、利用者が一気に増えました。

オンラインと実店舗で利用可能な決済サービスです。決済ごとに貯まるポイントや多彩なキャンペーンが魅力で、送金もできます。
中国の主要なキャッシュレス決済方法
中国のキャッシュレス市場は、2024年の市場規模は約40兆ドル、2029年には60兆ドル超に拡大すると予測されています。モバイル決済の普及率は2023年に86%と世界トップに達し、AlipayとWeChat Payの2社が市場の大部分を占めています。

アリババグループ傘下のアントグループが運営する、中国最大級のモバイル決済サービスです。主要な国際クレジットカードとの連携が可能で、世界でのユーザー数は13億人を超えます。決済だけでなく、資産管理や公共料金の支払いなど多機能です。PayPayとのパートナーシップにより、Alipay+を通じて日本でも300万店以上で利用できます。

月間アクティブユーザー数14億人以上(2025年3月時点)の中国最大のSNS「WeChat(微信)」から利用できるモバイル決済サービスです。QRコード決済をはじめ、個人間送金やオンライン購入など利用シーンは多岐にわたり、Alipayと並ぶ2大モバイル決済として定着しています。日本国内ではau PAY加盟店での利用が可能です。

発行枚数は80億枚以上と、世界で最も多く発行されている中国の国際ブランドカードです。手数料が無料のデビット機能を中心に、ATMや店頭での決済、オンライン購入など幅広く対応しています。日本国内でも7割ほど導入が進んでおり、モバイル決済を利用していない来店客の支払い手段としても有効です。
台湾の主要なキャッシュレス決済方法
台湾のモバイル決済市場は、2022年から2027年にかけて年平均17.3%で成長すると予測されています。台北富邦商業銀行の調査でも85%以上が「他の支払い方法よりもモバイル決済を使いたい」と答えており、現地では急速にキャッシュレス化が進んでいます。
(出典:Mordor Intelligence)
PX Pay

台湾最大手のスーパーマーケット「全聯福利中心(PX Mart)」が提供するモバイル決済アプリです。アプリ会員数は800万人を超えており(2022年時点)、現地での台湾国内での認知度が高いサービスです。PXPay plusであれば、日本国内のPayPay加盟店でも利用できます。
JKOPAY

台湾国内で最も広く使われるQRコード決済の一つで、ユーザー数が620万人を超えています(2023年8月時点)。公共料金や交通機関にも使える汎用性があります。PXPay plusと同様に、PayPayのQRコードから決済可能です。
全世界共通で人気なクレジットカード決済
クレジットカード決済への対応は、訪日外国人の受け入れ体制として欠かせません。
国や地域を問わず利用されているため、主要ブランドにはあらかじめ対応しておくのが望ましいでしょう。タッチ決済やApple Pay・Google Payとの連携により、スマートフォンやカードをかざすだけでスムーズに支払いが完了する利便性も特徴です。日本国内ではクレジットカードの利用率が高いため、国内の顧客への対応策にもなります。

世界最大級の決済ネットワークを誇り、200以上の国と地域で約4,000万店以上に利用されています。日本国内でもシェア率は50%を超えます(2020年時点)。

Visaに次ぐ国際的ブランドで、210以上の国と地域で展開されています。特にヨーロッパでは馴染みのある決済手段です。

日本発の唯一の国際ブランドで、会員数は約1億6,970万人です(2025年3月時点)。特に、台湾、韓国、シンガポールなどのアジア諸国で利用されています。です。
決済代行サービス「KOMOJU」は韓国・中国の主要な決済手段のほか、クレジットカード決済やQRコード決済などを一括で導入できます。導入できる決済手段の一覧は以下をご覧ください。
インバウンド対応のキャッシュレス決済導入ポイント

訪日外国人の決済手段は多様化しており、対応するには利用層に合った手段の導入、多言語対応、安定した通信環境の確保といった基本的な準備が欠かせません。ここでは、導入時に押さえておきたい3つのポイントを紹介します。
ターゲット層がよく利用する決済手段を選定する
導入すべき決済手段は、訪日外国人の国や世代によって異なります。たとえば中国ではQRコード決済が一般的ですが、欧米圏ではデビットカードやApple Payの利用が主流です。さらに、若年層はスマホ決済、高齢層はカードを使う傾向があるなど、同じ国でも違いがあります。「どの国から、どんな人が来ているか」を把握したうえで、利用頻度の高い手段から順に対応することが得策です。
多言語対応・決済手段のロゴ掲示で言語の壁をなくす
言葉が通じず、会計時に決済方法が伝わらないことがあります。POS端末やタブレット画面は、英語や中国語、韓国語など多言語表示に対応しておくと安心です。また、利用可能な決済手段のロゴを店頭やレジ周辺に掲示するなど、視覚的に伝わりやすい工夫も効果的です。
混雑時でも安定する通信環境を整える
キャッシュレス決済は通信環境が安定していてはじめて機能します。特に混雑しやすい時間帯やイベント時は、速度や接続安定性を事前に確認しておくことが大切です。Wi-Fiや回線の強化はもちろん、決済端末の動作確認や定期的なアップデートも忘れずに行いましょう。決済機器が使えなくなったときのために、現金での支払いのお願いを多言語表記で用意しておくのも対策の一つです。
インバウンド対応に使える補助金
キャッシュレス決済の導入や多言語対応、店舗設備の整備といったインバウンド対応には、国や自治体が提供する補助金制度を活用することで費用負担を抑えることが可能です。民間の小規模店舗から中小企業まで、対象事業者の幅も広いです。
- 観光庁(国交省)の補助金制度
- 「インバウンド受入環境整備高度化事業」:多言語案内・Wi-Fi整備・キャッシュレス機器導入などを対象に、経費の2分の1以内を補助
- 「地域観光魅力向上事業」:観光のためのコンテンツ作成を支援
- 中小企業向けの汎用補助金(中小企業庁)
- 「ものづくり補助金(グローバル枠)」:インバウンド対応などに最大3,000万円を支給
- 「IT導入補助金(インボイス枠)」:POSレジ・キャッシュレス決済端末の導入に利用でき、補助率は最大4/5
- 「小規模事業者持続化補助金(一般型・通常枠)」:多言語パンフレットやSNS広告など販促活動への支援
- 地方自治体の独自補助金
- 「インバウンド対応力強化支援補助金」:東京都で実施されており、キャッシュレス導入や多言語表示、トイレの多機能化など1施設あたりに最大300万円支給(他道府県でも、各地域の観光戦略に沿った支援制度あり)
補助金の対象や申請要件は制度ごとに異なり、予算枠の消化状況によって早期に終了する場合もあります。導入を検討している事業者は、商工会議所や自治体の窓口、公式サイトなどで最新情報を確認することが重要です。
まとめ|インバウンド対策としてキャッシュレス決済を導入
訪日外国人は年々増えており、重要な顧客層となっています。サービスや売上の向上には、各国に合わせたキャッシュレス決済に対応することが欠かせません。特に韓国や中国など訪日外国人数が多い国の決済手段は導入しておくことが望ましいでしょう。補助金制度を活用すれば、導入コストも抑えられます。
決済代行サービス「KOMOJU」なら、クレジットカードやAlipay、WeChat Pay、Kakao Payなど、主要な国内外の決済手段を幅広くカバーしています。ぜひご検討ください。

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