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KOMOJU(コモジュ)は個人から世界的大企業まで様々な事業者が利用している日本の決済プラットフォームです。
スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末の保有率が国内で9割を超える中、アプリでゲームやコンテンツの閲覧を楽しむ人が増えました。事業者の中には、アプリでのデジタルコンテンツ購入を促す「アプリ内課金」を検討している方も多いのではないでしょうか。
本記事では、アプリ内課金の仕組みや種類、メリット・デメリットなどをご紹介します。アプリ内課金を取り巻く最新動向も押さえて、事業者・ユーザーの双方にとって良い体験となる課金モデルを見つけてください。
アプリ内課金とは?
アプリ内課金とは、ユーザーがアプリをダウンロードしたあとに、アプリのコンテンツやオプション機能に追加料金を支払って利用する仕組みです。使いたい分のみ支払えばよいため、ユーザーが手軽に利用できるのが特徴です。ゲームアプリやチャットアプリ、ニュースメディアアプリなどで導入されています。
アプリ内課金は「有料アプリ」とは異なります。有料アプリは、ダウンロードする時点で料金が発生するアプリのことです。ダウンロード後にさらに課金が必要なものもあります。一方アプリ内課金は、ダウンロード後に課金が発生する仕組みを指し、ダウンロード時には有料のものもあれば無料のものもあります。アプリストアに「アプリ内課金あり」と表示されているものが、アプリ内課金です。
料金の支払いには、AppleのApp StoreやアンドロイドデバイスにはGoogle Playなどのアプリを提供・販売するプラットフォームの決済サービスを使用します。アプリ事業者は自社で決済サービスを持たずに、アプリプラットフォームにアプリ内課金を決済代行するので利便性が高いですがアプリ事業者が負担する手数料は、販売額の15〜30%相当と高めです。
アプリ内課金で販売可能なものと販売不可能なもの
アプリ内課金で販売可能・販売不可能なものをご紹介します。
販売可能なもの
デジタルコンテンツや追加機能などを販売できます。
- コンテンツ:ゲーム内のアイテム、電子書籍やニュース記事、動画、写真など
- アプリの追加機能:プロ版へのアップグレード、他ソフトとの連携、広告の削除など
- サブスクリプション:コンテンツを定期的に提供するサービス
- クラウドサービス:データ容量の拡大、業務を効率化するクラウドソフトウェアなど
販売不可能なもの
実物の商品や許可されていないコンテンツは販売できません。
- 実物の商品やサービス:食料品、衣料品、会費など
- 不適切なコンテンツ:公序良俗に反するもの、ポリシーに違反するもの、名誉毀損や著作権などの権利違反になるもの
アプリ内課金の種類(収益モデル)
アプリ内課金には、4種類あります。
消耗型課金(消費型課金)
消耗型課金(消費型課金)は、一回で使い切るものを支払って購入する課金方式です。
例:ゲーム内のアイテム、くじ引き(ガチャ)など
App Storeで購入したコンテンツの再ダウンロードはできません。また、アプリを再インストールしても購入したコンテンツは同期されない可能性があるため、注意が必要です。
非消耗型課金(非消費型課金)
非消耗型課金(非消費型課金)は、永続的に利用できるコンテンツや機能を購入する課金方式です。
例:ゲームアプリのアップグレード、デジタルコンテンツの閲覧制限の解除、広告の非表示など
Apple IDやGoogleアカウントを利用し、様々なデバイスで利用可能です。仮に購入したコンテンツが消滅した場合も、無料で復元できる場合があります。
自動更新サブスクリプション
自動更新サブスクリプションは、サービスやコンテンツの定期的な利用のために、月ごと・半年ごとなどに一定額を支払う課金方式です。契約期間は自動的に更新され、解約するまで利用できます。契約期間が長いほどお得になる場合があります。
例:動画配信や画像素材などのコンテンツ利用、新聞や雑誌など定期刊行物の閲覧、電子書籍の読み放題サービスなど
非更新サブスクリプション / 分割払い・プリペイド
非更新サブスクリプションは、期限つきでサービスやコンテンツに支払うAppleの課金方式です。Google Playでは「分割払い」のプランが該当し、期限つきで毎月支払いを行います。もしくは、決められた期限分の料金をあらかじめ支払う「プリペイド」のプランもあります。
契約期間を過ぎると利用できなくなり、継続的に利用したい場合は契約し直す必要があります。契約解除を忘れて課金し続けてしまうというネガティブなユーザー体験を避けられます。
例:コンテンツ、スポーツの動画視聴、ソフトウェアなどの期間限定での利用
アプリ内課金とアプリ外課金との違い
アプリ外課金はユーザーを自社サイトなどアプリの外の決済ページへ誘導し、決済を行う課金方式です。アプリ外課金によって、アプリ内課金では利用できない決済手段を提供でき、ユーザーが課金しやすくなります。
アプリ外課金が生まれた背景には、2020年に人気ゲーム「フォートナイト」の開発会社であるエピック・ゲームズが、AppleとGoogleを提訴したことが挙げられます。アプリ内課金の手数料の高さから、アメリカの独占禁止法(反トラスト法)違反に当たるとして訴えを起こしたのです。
訴訟を受け、2021年8月からAppleで、2022年3月からGoogleで、アプリ外課金がゲームアプリ以外の一部のアプリで可能になりました。
また、2024年1月には、Appleでアプリ内での外部課金システムのリンク挿入が許可されました。しかし、アメリカ向けのアプリのみに限定されている上、アプリ内課金での外部決済のため12~27%の手数料がかかります。完全なアプリ内課金より3%しか利下げされておらず、事業者からの反発はいまだに残っています。
今後もアプリ内課金・アプリ外課金の仕組みや手数料には変更がある可能性があるため、アプリ事業者は引き続き最新情報を追う必要がありそうです。
アプリ内課金のメリットとデメリット
アプリ内課金のメリット・デメリットをご紹介します。
アプリ内課金のメリット
アプリ内課金のメリットは、事業者にとってもユーザーにとっても決済手続きの手間がかからない点です。
<事業者のメリット>
アプリ内課金では、App StoreやGoogle Playなどのプラットフォームの決済サービスを利用して課金を行うため、自社で課金の仕組みを用意する必要がありません。アプリでの販売が開始しやすいのが特徴です。世界各地に合わせたレートや支払い方法もあるため、グローバル展開にも活用できるでしょう。
<ユーザーのメリット>
外部サイトに画面遷移せずに、Face IDやTouch IDによる認証でワンタッチ決済が可能です。課金から購入したコンテンツやオプション機能の利用までアプリ内で完結することから、手続きがシームレスで使い勝手がよいです。
アプリ内課金のデメリット
アプリ内課金のデメリットは、手数料が高いことと、利用可能な決済手段が限られている点です。
<事業者のデメリット>
AppleやGoogleなどのプラットフォームに対して、アプリ内課金の手数料を支払う必要があります。販売額の15〜30%であり、他の決済サービスよりも高いです。長期運用において負担が大きく感じられるでしょう。
また、アプリ内課金では販売額が自由に設定できません。プラットフォームが定めた価格テーブルに沿って選ぶ必要があり、外国為替レートによっても変動を受けます。
<ユーザーのデメリット>
AppleやGoogleなどのプラットフォームが提供する決済手段でしか支払いができません。2024年10月時点では以下の決済手段が利用可能です。
▼Appleで利用可能な決済手段
Apple Pay・クレジットカード・Apple Gift Card・銀行振込・コンビニエンスストア払込・代金引換・ペイディあと払いプランApple専用・オリコショッピングローン
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▼Googleで利用可能な決済手段
クレジットカード・デビットカード・Edy・メルペイ・キャリア決済・Google Play残高・Google Play ギフトカード・PayPal・現金・PayPay
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アプリ内課金における課題
アプリ内課金の課題は、手数料や価格テーブルでの料金設定など、プラットフォームが定めるポリシーに事業者が大きな影響を受けてしまう点です。特に、App StoreやGoogle Playなどの決済サービスには販売額の15〜30%の手数料を支払わなければならず、利益率が下がってしまうことが課題となります。
ただ、今後はAppleやGoogleが提供するアプリストア以外からアプリをダウンロードできるようになる可能性もあります。
EUでは、AppleやGoogleなどを規制するデジタル市場法(DMA:Digital Markets Act)が2023年に施行され、2024年3月に全面的な運用が開始されました。DMAは巨大なプラットフォームを持つ企業の市場独占を阻止するためのもので、遵守されない場合はその企業の全世界売上高の10%を上限に制裁金を科すことになります。
日本でも、2024年6月にスマホソフトウェア競争促進法が可決されました。スマートフォン分野における、競争を促進し、特定企業の市場独占を防ぐ狙いがあります。従来は、AppleやGoogleのプラットフォームに高い手数料を支払う必要がありましたが、今後は他の決済代行サービスが利用可能になる見通しです。
アプリ内課金を取り巻く環境は、今後も変化していくと考えられます。
まとめ|アプリでの販売に必要な決済サービスを導入しよう
今回は、アプリ内課金の仕組みや種類、メリット・デメリットをご紹介しました。
アプリ内課金は必要なサービスのみに課金していくため、ユーザーが利用しやすいですが、事業者に手数料の負担が大きくかかります。アプリでのデジタルコンテンツ販売は、その都度ルールに合わせて最適な体験や手数料を選ぶことが大切です。
決済代行サービス「KOMOJU」が提供する「KOMOJU React Native SDK」は、アプリ内課金の決済部分を開発しやすくするモバイルSDKです。API仕様書をもとにした開発よりも、工数を少なくアプリ内に決済サービスを導入できます。
クレジットカード決済だけでなく、コンビニ支払いやPayPayといった様々な決済方法を自由に選択できるようになります。アプリ内課金の決済を開発したいと考えているアプリ事業者の方は、ぜひご検討ください。
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