この記事はKOMOJUが提供しています。
KOMOJU(コモジュ)は個人から世界的大企業まで様々な事業者が利用している日本の決済プラットフォームです。
IT・インターネット業界の進化により、ECビジネスの市場は国内外で急速に拡大しています。
2023年8月に経済産業省が発表した「令和4年度 電子商取引に関する市場調査」によると、BtoC EC市場規模は22兆7,449億円、BtoB EC市場規模は420兆2,354億円。物販系BtoC市場のEC化率は9.13%、BtoB市場のEC化率は37.5%でした。
本記事では、EC市場の動向や市場規模、BtoB、BtoC市場のEC化率をご紹介します。
EC市場とは?
EC市場とは、電子商取引(Electronic Commerce)が行われる市場のことです。インターネット上で受発注が行われている取引全般を指しています。
EC市場は3種類に分類されています。
- BtoB-EC市場:企業間または企業と政府(中央官庁及び地方公共団体)間で、ECを利用して受発注を行った財・サービスの取引金額
- BtoC-EC市場:企業と消費者間でのECによる取引金額
- CtoC-EC市場:フリマアプリとネットオークションでの取引金額(BtoB、BtoCの取引も含まれる)
本記事では、BtoBとBtoCのEC市場を中心に取り上げます。
EC化率とは?
EC化率とは、すべての商取引において、EC(電子商取引)の市場規模が占める割合のことです。つまり、オンライン上で商品を購入した割合がどのくらいかを示した指標です。
- EC化率=ECの総額÷全商取引の総額
例えば、全商取引が100億円の産業において、ECでの取引が30億円だった場合、EC化率は30%です。
EC化率が高い市場は、オンライン上での販売が活発であり、EC化率が低い市場は実店舗での売買が主流であることが分かります。
EC市場の動向
EC市場の動向を知る上で、まずはBtoC市場を見てみましょう。
出典:経済産業省「令和4年度電子商取引に関する市場調査」(2023年8月)
上記推移グラフを見ると、2022年のBtoC EC市場規模は、22兆7,449億円となり、前年比で2兆499億円もの増加となりました。
物販系分野の市場規模は拡大を続け、13兆9,997億円、前年比5.37%でした。コロナ禍でECの利用率が高まったあとも、引き続き物販分野でのECの利用が定着しているようです。
特に伸びが際立ったのがサービス分野です。2022年の市場規模は6兆1,477億円で、前年比32.43%でした。コロナ禍で停滞していた旅行サービスやチケット販売が、一気に回復したと見られます。しかし、コロナ禍前と比べると、まだ完全な回復とは言えません。
対して市場規模が縮小したのが、デジタル系分野です。2022年の市場規模は2兆5,974億円、前年比マイナス6.10%となりました。動画や音楽の有料配信はコロナ禍以降も定着しましたが、オンラインゲームの利用率が伸び悩んだことが市場規模の縮小につながったようです。
また、BtoBのEC市場は、BtoCと比較して市場も大きくEC化率が高いのが特徴です。2022年は、前年比12.8%増の420兆2,354億円となり、EC化率も35.6%から37.5%に伸びています。
出典:経済産業省「令和4年度電子商取引に関する市場調査」(2023年8月)
それぞれの市場規模、EC化率について、後ほど詳しくご紹介します。
ECの市場規模
ECの市場規模を、世界のEC市場と日本のEC市場に分けて見てみましょう。
世界のEC市場
世界のEC市場として、BtoCのEC市場を見てみると、2022年の世界のBtoC EC市場規模は5.44兆USドル、EC化率は19.3%と推計されています。コロナウイルスの世界的流行によってEC需要が拡大し、EC化率の増加につながったと見られています。
2026年にはEC化率が23.3%と推計されていることから、今後もEC市場の拡大とともに右肩上がりになるでしょう。
出典:経済産業省「令和4年度電子商取引に関する市場調査」(2023年8月)
また、2022年の日本・米国・中国の3ヵ国間における越境ECの市場規模を見てみると、日本と比較して米国と中国の越境EC市場規模ははるかに大きいことが分かります。伸び率は日本と米国が数年の間ほぼ一定なのに対して、中国は2020年の前年比16.3%から大きく低下しました。
出典:経済産業省「電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました」(2023年8月)
日本のEC市場
日本のEC市場でも、2020年からのコロナ禍によってECの利用率が高まっています。後ほど詳しくご紹介しますが、物販系BtoCのEC化率は2022年に9.13%で、前年比0.35%増です。
世界と比較すると、これまでの日本のEC市場は伸び率が低いのが特徴でした。さまざまな要因が考えられますが、以下のような点が課題とされています。
- 製造業など市場規模の大きい業界でEC化が進んでいない
- 企業風土が古く、オンライン化に対応できない企業が多い
- 現金決済が主流の高齢者が多く、クレジットカードなどのオンライン決済が進まない
上記のような課題が、コロナ禍で改善へと動き出しているものと見られます。
BtoB市場のEC化率
経済産業省の調査によると、2022年におけるBtoB市場のEC化率は37.5%で前年比1.9%増です。同年のEC市場規模は、前年比12.8%増の420兆2,354億円となりました。
出典:経済産業省「令和4年度電子商取引に関する市場調査」(2023年8月)
EC化率の伸長の背景には、BtoBに特化したASPサービスが出てきたり、ECシステムが浸透してきたりしていることがあります。
ただし、BtoBのEC化率の集計にあたり、企業間の商取引における帳票処理を電子化するEDI等の受発注システムとECサイトが区別されておらず、実際のBtoBのEC化率よりも高い数値になっているので注意が必要です。
次に、BtoBのEC市場規模を業種別に見てみましょう。2022年における業種別のEC化率が最も高いのが「輸送用機械」で76.7%、最も低いのが「建設・不動産業」で15.2%です。
出典:経済産業省「令和4年度電子商取引に関する市場調査」(2023年8月)
EC市場規模は全体的に拡大しています。
BtoC市場のEC化率
BtoCのEC市場は、3つの分野にわけて集計されています。
- 物販系分野
- サービス系分野
- デジタル系分野
それぞれのEC市場規模、伸長率を見てみると、物販系とサービス系のEC市場は拡大し、デジタル系分野は縮小しています。総計としては伸長率が31.7%増でした。
出典:経済産業省「電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました」(2023年8月)
BtoCのEC市場において最も市場規模が大きいのが、13兆9,997億円の物販系分野です。物販系分野のEC化率は、2021年の8.78%から、2022年には9.13%と増加しています。
出典:経済産業省「令和4年度電子商取引に関する市場調査」(2023年8月)
物販系分野の内訳は以下です。EC化率については、次の項目で詳しく見ていきましょう。
出典:経済産業省「電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました」(2023年8月)
EC化率の高い業界
BtoCのEC市場の中でも最も市場規模が大きい物販系分野。なかでもEC化率が高い業界は以下です。
- 書籍、映像・音楽ソフト:52.16%
- 生活家電、AV機器、PC・周辺機器等:42.01%
- 生活雑貨、家具、インテリア:29.59%
コロナ禍においてオンライン上での消費や購入に向いている、ECと相性のよい分野と言えるでしょう。
EC化率の低い業界
一方で、EC化率が低い業界は、「自動車、自動二輪車、パーツ等」が3.98%、「食品、飲料、酒類」が4.16%でした。
「自動車、自動二輪車、パーツ等」に関しては、実店舗にて自動車や自動二輪車を試乗して購入するかどうかを検討するため、なかなかEC化率が高まりにくいと考えられます。
一方、「食品、飲料、酒類」は以下のような理由でEC化率が伸びづらいと言われています。
- 直接手に取って食品を選ぶ需要がある
- スーパーやコンビニが近くにあり、ECで購入するよりも便利
- 配送に時間や送料がかかる
今後、全国に配送が可能な業者が整備していけばEC化率も伸びるのではないでしょうか。
EC市場の今後の予測
成長市場であるEC市場ですが、日本のBtoC市場において最もEC化率の高い物販系分野でも、そのEC化率は9.13%です。世界のEC化率は2026年で23.3%まで成長すると推計されており、まだ成長の余地はあると言えます。
また、スマートフォンのユーザーが増加していることや、EC関連のビジネスも広がりを見せていること、消費者がオンラインでの購買行動に慣れてきていることから、今後も拡大していくでしょう。
まとめ|今後拡大するEC市場に参入するには
今回はECの市場規模やEC化率について解説しました。まだまだ日本のEC化率は増加していくことでしょう。
EC市場の拡大にあわせてビジネスを展開するのであれば、SNSでの発信を行い、オンライン上で消費者とのコミュニケーションを取り、ECサイト上で購入してもらえるようなマーケティング活動を行うことがポイントです。
D2Cブランドの拡大も、EC市場が大きく関わっています。ECサイトでの購入が当たり前になっていくにつれ、多様な決済方法がECサイトに備わっていることが購入前の離脱である「カゴ落ち」を防ぐことにも繋がります。
自社のサービス展開において、EC市場への新規参入やリプレイスを検討している方は、ECサイトについても学ぶことをおすすめします。
【この記事の監修者】
豊田 亮太
グロースマーケター
Shopify Japanの初期メンバーとして、日本市場におけるShopifyの普及に貢献。ECプラットフォーム、決済代行サービス等に関して豊富な知見を持つECのエキスパート。LinkedInページ:https://www.linkedin.com/in/ryota-toyoda-b45127138/
この記事はKOMOJUが提供しています。
KOMOJU(コモジュ)は個人から世界的大企業まで様々な事業者が利用している日本の決済プラットフォームです。