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IT・インターネット業界の進化により、ECビジネスの市場は国内外で急速に拡大しています。
2021年7月に経済産業省が発表した「令和2年度電子商取引に関する市場調査」によると、BtoC EC市場規模は19兆2,779億円、BtoB EC市場規模は334兆9,106億円。物販系BtoC市場のEC化率は8.08%、BtoB市場のEC化率は33.5%でした。
本記事では、EC市場の動向や市場規模、BtoB、BtoC市場のEC化率をご紹介します。
EC市場とは?

EC市場とは、電子商取引(Electronic Commerce)が行われる市場のことです。インターネット上で受発注が行われている取引全般を指しています。
EC市場は3種類に分類されています。
- BtoB-EC市場:企業間または企業と政府(中央官庁及び地方公共団体)間で、ECを利用して受発注を行った財・サービスの取引金額
- BtoC-EC市場:企業と消費者間でのECによる取引金額
- CtoC-EC市場:フリマアプリとネットオークションでの取引金額(BtoB、BtoCの取引も含まれる)
本記事では、BtoBとBtoCのEC市場を中心に取り上げます。
EC化率とは?
EC化率とは、すべての商取引において、EC(電子商取引)の市場規模が占める割合のことです。つまり、オンライン上で商品を購入した割合がどのくらいかを示した指標です。
- EC化率=ECの総額÷全商取引の総額
例えば、全商取引が100億円の産業において、ECでの取引が30億円だった場合、EC化率は30%です。
EC化率が高い市場は、オンライン上での販売が活発であり、EC化率が低い市場は実店舗での売買が主流であることが分かります。
EC市場の動向
EC市場の動向を知る上で、まずはBtoC市場を見てみましょう。

出典:経済産業省「令和2年度電子商取引に関する市場調査」(2021年7月)
上記推移グラフを見ると、2020年のBtoC EC市場規模は、19兆2,779億円となり、前年比で830億円もの減少となりました。
全体としては減少している中でも、物販系分野の市場規模は拡大しており、12兆2,333億円、前年比21.71%でした。コロナ禍で「待てる買い物は通販で」といった「人との接触を8割減らす、10のポイント」を政府が発表したこともあり、物販系分野でECの利用率が高まったようです。
デジタル系分野もステイホームにより、2兆4,614億円、前年比14.90%と市場が拡大しています。ゲームやエンタメコンテンツなどの需要が高まっています。
対して、減少したのがサービス分野で、4兆5,832億円と前年比36.05%のマイナスとなりました。旅行サービス、飲食サービス、チケット販売が不振であったことが要因です。

出典:NRI「ITナビゲーター2021年版」(2020年12月)
また、BtoBのEC市場は、BtoCと比較して市場も大きくEC化率が高いのが特徴です。2020年は、前年比5.1%減の334兆9,106億円となりましたが、EC化率は31.7%から33.5%に伸びています。

出典:経済産業省「令和2年度電子商取引に関する市場調査」(2021年7月)
それぞれの市場規模、EC化率について、後ほど詳しくご紹介します。
ECの市場規模
ECの市場規模を、世界のEC市場と日本のEC市場に分けて見てみましょう。
世界のEC市場
世界のEC市場として、BtoCのEC市場を見てみると、2020年の世界のBtoC EC市場規模は4.28兆USドル、EC化率は18.0%と推計されています。コロナウイルスの世界的流行によってEC需要が拡大し、EC化率の増加につながったと見られています。
2024年にはEC化率が21.8%と推計されていることから、今後もEC市場の拡大とともに右肩上がりになるでしょう。

出典:経済産業省「令和2年度電子商取引に関する市場調査」(2021年7月)
また、日本・米国・中国の3ヵ国間における越境ECの市場規模を見てみると、日本と比較して米国と中国の越境EC市場規模ははるかに大きいことが分かります。

出典:経済産業省「電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました」(2021年7月)
日本のEC市場
日本のEC市場でも、2020年からのコロナ禍によってECの利用率が高まっています。後ほど詳しくご紹介しますが、物販系BtoCのEC化率は、2019年度の6.76%から、2020年には8.08%まで増加しています。
世界と比較すると、これまでの日本のEC市場は伸び率が低いのが特徴でした。さまざまな要因が考えられますが、以下のような点が課題とされています。
- 製造業など市場規模の大きい業界でEC化が進んでいない
- 企業風土が古く、オンライン化に対応できない企業が多い
- 現金決済が主流の高齢者が多く、クレジットカードなどのオンライン決済が進まない
上記のような課題が、コロナ禍で改善へと動き出しているものと見られます。
BtoB市場のEC化率
経済産業省の調査によると、2020年におけるBtoB市場のEC化率は、33.5%。同年のEC市場規模は、前年比5.1%減の334兆9,106億円となりましたが、EC化率は31.7%から33.5%に伸びています。

出典:経済産業省「令和2年度電子商取引に関する市場調査」(2021年7月)
EC化率の伸長の背景には、BtoBに特化したASPサービスが出てきたり、ECシステムが浸透してきたりしていることがあります。ただし、BtoBのEC化率の集計にあたり、企業間の商取引における帳票処理を電子化するEDI等の受発注システムとECサイトが区別されておらず、実際のBtoBのEC化率よりも高い数値になっているので注意が必要です。
次に、BtoBのEC市場規模を業種別に見てみましょう。2020年における業種別のEC化率が最も高いのが「輸送用機械」で70.7%、最も低いのが「建設・不動産業」で13.1%です。

出典:経済産業省「令和2年度電子商取引に関する市場調査」(2021年7月)
EC市場規模を見ると、市場規模自体が拡大しているのが「建設」「情報通信」「金融」です。もっとも縮小したのが「卸売」で、卸売を通さないD2Cビジネスが増えてきたことが要因と考えられます。
BtoC市場のEC化率
BtoCのEC市場は、3つの分野にわけて集計されています。
- 物販系分野
- サービス系分野
- デジタル系分野
それぞれのEC市場規模、伸長率を見てみると、物販系とデジタル系のEC市場は拡大し、サービス系分野は縮小しています。総計としては伸長率がマイナス0.43%と、ほぼ昨年並みの市場規模でした。

出典:経済産業省「電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました」(2021年7月)
BtoCのEC市場において最も市場規模が大きいのが、12兆2,333億円の物販系分野です。物販系分野のEC化率は、2019年が6.76%だったところから、2020年には8.08%と増加しています。

出典:経済産業省「令和2年度電子商取引に関する市場調査」(2021年7月)
物販系分野の内訳は以下です。EC化率については、次の項目で詳しく見ていきましょう。

出典:経済産業省「電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました」(2021年7月)
EC化率の高い業界

BtoCのEC市場の中でも最も市場規模が大きい物販系分野。なかでもEC化率が高い業界は以下です。
- 書籍、映像・音楽ソフト:42.97%
- 生活家電、AV機器、PC・周辺機器等:37.45%
- 生活雑貨、家具、インテリア:26.03%
コロナ禍においてオンライン上での消費や購入に向いている、ECと相性のよい分野と言えるでしょう。
EC化率の低い業界

一方で、EC化率が低い業界は、「自動車、自動二輪車、パーツ等」が3.23%、「食品、飲料、酒類」が3.31%でした。
「自動車、自動二輪車、パーツ等」に関しては、実店舗にて自動車や自動二輪車を試乗して購入するかどうかを検討するため、なかなかEC化率が高まりにくいと考えられます。
一方、「食品、飲料、酒類」は以下のような理由でEC化率が伸びづらいと言われています。
- 直接手に取って食品を選ぶ需要がある
- スーパーやコンビニが近くにあり、ECで購入するよりも便利
- 配送に時間や送料がかかる
今後、全国に配送が可能な業者が整備していけばEC化率も伸びるのではないでしょうか。
EC市場の今後の予測

成長市場であるEC市場ですが、日本のBtoC市場において最もEC化率の高い物販系分野でも、そのEC化率は8.08%です。世界のEC化率は2024年で21.8%まで成長すると推計されており、まだ成長の余地はあると言えます。
また、スマートフォンのユーザーが増加していることや、EC関連のビジネスも広がりを見せていること、消費者がオンラインでの購買行動に慣れてきていることから、今後も拡大していくでしょう。
まとめ|今後拡大するEC市場に参入するには
今回はECの市場規模やEC化率について解説しました。まだまだ日本のEC化率は増加していくことでしょう。
EC市場の拡大にあわせてビジネスを展開するのであれば、SNSでの発信を行い、オンライン上で消費者とのコミュニケーションを取り、ECサイト上で購入してもらえるようなマーケティング活動を行うことがポイントです。
D2Cブランドの拡大も、EC市場が大きく関わっています。ECサイトでの購入が当たり前になっていくにつれ、多様な決済方法がECサイトに備わっていることが購入前の離脱である「カゴ落ち」を防ぐことにも繋がります。
自社のサービス展開において、EC市場への新規参入やリプレイスを検討している方は、ECサイトについても学ぶことをおすすめします。

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