国内でECサイトの売上に悩んでいるのであれば、海外向けに販売するのはいかがでしょうか。特にアジアは経済成長が目覚ましく、配送距離も日本から比較的近いため、魅力的な市場といえます。越境ECではデジタルウォレットのシェアがますます拡大しており、適切な決済方法の選択が成功を左右するポイントです。
今回の記事では、アジア諸国の越境ECや決済の動向について、主要8か国を中心にまとめました。現地消費者の決済習慣にあわせ、アジア市場での売上拡大に向けたアクションプランを考え、越境ECビジネスの成長を加速させましょう。
越境ECで重要なのは海外向けの決済方法

越境ECとは国境を越えて行われる電子商取引を意味し、言い換えれば海外向けのEC(ネットショップ)のことです。海外に実店舗を持たなくても効率的に海外の顧客を獲得できるのが、最大のメリットです。ECプラットフォームを活用すれば、比較的手軽に越境ECが構築できます。構築にあたっては、海外の消費者に合った決済方法を導入する必要があります。
EC市場の決済方法として利用率が上がっているのが、デジタルウォレットです。デジタルウォレットとは、アプリを通してオンラインデータベース上に登録されたクレジットカード情報や電子マネー情報を使って支払う方法のことで、日本ではPayPayや楽天ペイなどがあります。
2024年の世界のEC市場におけるデジタルウォレットのシェアは53%に達し、2030年には65%まで増加すると予測されています。一方、クレジットカードの利用の割合は、2024年の20%から2030年には13%に低下する見込みです。
世界的なEC市場の成長に伴い、越境ECではデジタルウォレットを導入する必要性がますます高まっています。
参考:Global Payments Report 2025 | Payment Insights | Worldpay
越境ECでの販売先はアジア諸国がおすすめ
越境ECの販売先は世界を対象に幅広くありますが、中でもおすすめはアジア諸国です。近年の経済成長が著しく、今後も成長が見込まれる市場です。2024年の中国の経済成長率は4.9%、東アジアは4.8%、南アジアは5.9%と予測されており、世界の経済成長率2.8%を上回る勢いで発展しています。
参考:WESP-2025_FACTSHEETS_Official_WEB_World.pdf
2025年の世界経済成長率は2.7%と低水準で推移- ジェトロ
また、アジア諸国は訪日観光客が多いことでも知られています。以下は2024年の上位12位の国別ランキングです。
訪日外客数(2024年1月~12月) | ||
1 | 韓国 | 881万7,800人 |
2 | 中国 | 698万1,200人 |
3 | 台湾 | 604万4,400人 |
4 | アメリカ | 272万4,600人 |
5 | 香港 | 268万3,500人 |
6 | タイ | 114万8,900人 |
7 | オーストラリア | 92万200人 |
8 | フィリピン | 81万8,700人 |
9 | シンガポール | 69万1,100人 |
10 | ベトナム | 62万1,100人 |
11 | インドネシア | 51万7,600人 |
12 | マレーシア | 50万6,800人 |
上位12位のうち、アジア太平洋地域ではない国はアメリカのみです。
日本を訪れたときに購入した商品を気に入り、帰国後にECサイトで再購入するという流れを生んでいることも、アジア諸国の重要なポイントです。JETROの2018年8月の調査では、中国の消費者が越境ECで日本の商品を購入する理由として(複数回答)、「日本を旅行したときに購入して気に入った製品だから」が20%を占めていました。実際に商品に触れた体験が、帰国後も生きているということです。
合わせて読みたい:【東南アジア向け越境EC】市場規模や成功するためのポイントを解説
日本とアジア8か国のECにおける主要な決済方法
アジア諸国の経済成長による需要を取り込むには、各国で主流の決済方法を越境ECに導入することが不可欠です。日本とアジア8か国(香港・韓国・中国・シンガポール・マレーシア・フィリピン・インドネシア・台湾)のECにおける主要な決済方法は以下の通りです。
*「K」のロゴがある決済方法は決済サービス「KOMOJU」が対応している決済方法です。

主なEC決済方法(2024) | 主なデジタルウォレット | 主なA2A決済 | |
日本 | クレジットカード:55% デジタルウォレット:25% | PayPay・楽天ペイ・au PAY | |
香港 | クレジットカード:39% デジタルウォレット:36% A2A決済:15% | Alipay HK・Apple Pay・Octopus | FPS(Faster Payment System) |
韓国 | クレジットカード:51% デジタルウォレット:32% | KakaoPay・Naver Pay・Sumsung Pay | |
中国 | デジタルウォレット:84% BNPL:4% | Alipay・WeChat Pay | |
シンガポール | デジタルウォレット:39% クレジットカード:37% | Apple Pay・PayPal・GrabPay・ShopeePay・DBS PayLah! | |
マレーシア | A2A決済:37% デジタルウォレット:25% | Touch ‘n Go・Boost™・GrabPay・ShopeePay | DuitNow |
フィリピン | デジタルウォレット:39% A2A決済:12% | GCash・Maya・ShopeePay | InstaPay・PESONet |
インドネシア | デジタルウォレット:42% A2A決済:32% | GoPay・OVO・DANA | BI-Fast |
台湾 | クレジットカード:43% デジタルウォレット:35% | LINE Pay・Apple Pay・PayPal |
参考:Global Payments Report 2025 | Payment Insights | Worldpay
デジタルウォレットの利用率は順調な伸び
日本と8か国に共通しているのは、ECの利用においてはデジタルウォレットの利用率が今後も伸びていくと見られることです。
デジタルウォレットの利用は、政府や銀行などによっても促進されています。以下は一例です。
- シンガポール:政府主導で2017年に導入されたデジタルウォレット「PayNow」により、即時に資金決済が可能。
- インドネシア:インドネシア銀行により2019年に国内の統一規格「QRIS」を制定。各個人が異なるキャッシュレス決済サービスを利用していても、同じQRコードから決済ができる。マレーシアのデジタルウォレット「DuitNow」と連携したことで、両国間で同じ決済サービスが使用可能。
参考:シンガポールの電子決済サービス「PayNow」、越境QRコード決済、マレーシアと商用開始
国によってはA2A決済の利用率もアップ
香港・韓国・シンガポール・マレーシア・フィリピン・インドネシアでは、A2A決済が今後も伸びていくことが予測されています。A2A決済とは、銀行口座間で直接資金を移動させ、リアルタイムで送金できる決済方式です。ECでは、消費者が銀行口座からEC事業者に直接支払うことができます。返金する場合も即時銀行に振り込まれるため、使い勝手がよいのが特徴です。
以下は国の事例です。
- インドネシア:インドネシア銀行により「BI-Fast」が2021年に導入され、24時間365日稼働を実現。
- マレーシア:「DuitNow」が導入され、QRコードを介したA2A決済が急速に普及。デジタルウォレットへのチャージ手段でも銀行口座が44%と最多。
クレジットカードの利用率は低下
クレジットカードの利用率が下がっていることは、日本と8か国すべてに共通しています。しかし、一定の需要も続いていきそうです。日本・香港・韓国・シンガポール・台湾のようにクレジットカードの利用率が高い国では、デジタルウォレットとの紐づけ先もクレジットカードが最も多くを占めています。
日本
日本のECにおける主要な決済方法は、2024年のオンライン取引額の55%をクレジットカード決済が占めました。しかし、近年ではデジタルウォレットの普及も進んでおり、PayPay・楽天ペイ・au PAYなどが広く利用されています。
一方、日本では少子高齢化社会の影響もあり、現金決済がまだ根強く残っているのが大きな特徴です。2024年のPOS取引額の39%が現金決済であり、アジア太平洋地域では2番目に高い現金使用率となっています。
香港
香港のEC市場の決済方法ではデジタルウォレットがもっとも普及しており、2024年の取引額の36%を占めています。デジタルウォレットのなかではAlipay HKが67%、PayMeが64%と高い普及率を示しているのが特徴です。
Alipay HKは中国本土発のサービスの香港版として、WeChat Pay HKなどとともに広く利用されています。PayMeは香港の大手銀行HSBCが提供するモバイル決済サービスで、若年層を中心に普及が進んでいます。
また、香港はFPS(Faster Payment System:高速決済システム)という決済サービスが特徴的です。FPSはリアルタイム決済システムで、24時間365日、銀行口座・デジタルウォレット間の即時送金を可能にしています。
韓国
2024年に韓国のオンライン取引額の32%をデジタルウォレットが占め、2030年には48%まで増加する見通しです。
韓国で主流のスマホ決済サービスとしては、KakaoPay・Toss・PAYCO・Naver Payなどがあります。とくにKakaoPayはもっともポピュラーなモバイル決済サービスで、メッセージアプリ「カカオトーク」と連携しています。
中国
中国のEC市場では、AlipayとWeChat Payの2大デジタルウォレットが圧倒的なシェアを占めています。オンラインショッピング利用者のうち77%がAlipay、67%がWeChat Payを利用していました。
中国のデジタルウォレットのシェアは飛び抜けており、2024年のEC取引額の84%、2030年には89%に達する見通しです。
現金の利用率はアジア太平洋地域の中で最も低く、POS取引のわずか5%にとどまっています。
シンガポール
シンガポールは、政府主導のもとキャッシュレス決済を積極的に推進している国のひとつとして知られています。シンガポールのEC市場では、デジタルウォレットが2024年のオンライン取引額の39%を占めています。
シンガポールで主流のデジタルウォレットの一例としては、GrabPay・PayNow・PayLah!などがあげられます。また、暗号通貨による決済が2024年に初めてEC取引の1%を占め、2030年には2%まで成長すると予測されています。
マレーシア
マレーシアのEC市場では、A2A決済がもっとも主要な決済方法として確立されています。A2A決済は2024年のEC取引額の37%を占め、デジタルウォレットの25%を上回る利用率となっています。
また、A2A決済「DuitNow」と連携したウォレットの利用が拡大しており、近隣諸国や中国のWeChat Payとの相互運用性の強化により、今後は国境を越えた利用もますます進むと考えられます。デジタルウォレットへのチャージ方法としては、44%が銀行口座経由での入金を選択しており、カードよりも銀行からの支払いが主流となっています。
フィリピン
フィリピンでは2024年のEC取引額の39%をデジタルウォレットが占めており、2030年には54%に拡大する見通しです。
とくに人気を集めているのは「GCash」で、調査によるとオンライン購入者の84%、実店舗の利用者の60%がGCashを使用していると回答しています。GCashは、6,600万以上のユーザーと450万以上の加盟店を有しています。
一方、フィリピンはアジア太平洋地域のなかで最も高い現金利用率を維持しており、代金引換の利用率も19%と高水準です。現金決済の比率は2019年の30%から2024年に19%へ減少したものの、2030年でも9%が残ると予測されています。
インドネシア
インドネシアは2024年のEC取引額の42%をデジタルウォレットが占め、A2A決済も32%と高いシェアを持っています。
DANA、GoPay、OVOなどの国内デジタルウォレットが2024年時点で、最も多く利用されている決済方法です。また、POSにおける現金利用率は2024年で38%と、アジア太平洋地域の中で日本・フィリピンに次いで3番目に高い水準となっています。
台湾
台湾は2024年のEC取引額においてクレジットカードが43%、LINE PayやApply Payなどのデジタルウォレットが35%を占めています。LINE Payは2025年4月に日本でのサービスを終了しましたが、*台湾でのサービスは継続される予定です。
台湾のデジタルウォレットの引き落とし先はクレジットカードが67%と圧倒的多数を占め、デビットカードと銀行口座がそれぞれ9%となっています。
台湾は日本との関係も深く地理的にも近いため、2024年の台湾人観光客数は約604万人とランキング上位でした。台湾における日本製品への信頼は高く、日本企業にとって越境EC展開の重要な市場となっています。
*参考:Termination of LINE Pay Service in Japan
アジア越境EC成功の鍵は適切な決済方法の選択
アジア諸国は経済成長が著しく、訪日観光客も多いため、越境ECビジネスにおいて注目を集めている地域です。主な決済方法はデジタルウォレットです。世界のEC市場でもデジタルウォレットが急速に普及し、今後も成長が予測されています。
決済代行サービス「KOMOJU」は、日本・香港・韓国・中国・シンガポール・マレーシア・フィリピン・インドネシアの主要な決済方法を提供しています。越境ECを成功に導くために、ぜひ導入をご検討ください。

この記事はKOMOJUが提供しています。
KOMOJU(コモジュ)は個人から世界的大企業まで様々な事業者が利用している日本の決済プラットフォームです。