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広告やSEO、SNSで集客できているのに、購入完了率が伸びない。その原因の多くは、ユーザーが購入直前で離脱してしまう「カゴ落ち」にあります。
カゴ落ちとは、ユーザーがECサイトで商品をカートに入れたにもかかわらず、決済まで進まずに離脱する現象のことです。多くのECサイトで発生しており、放置すると売上機会の損失につながります。
本記事では、カゴ落ちとは何か、発生する主な原因、そしてすぐに実践できるカゴ落ち対策をわかりやすく解説します。集客はできているのに売上が上がらないと感じている方は、ぜひ参考にしてみてください。
カゴ落ちとは?
カゴ落ちとは、ECサイトでユーザーが商品をカートに入れたものの、決済手続きを完了せずにサイトを離脱する現象です。別名「カート放棄」「カート落ち」「カート離脱」とも呼ばれます。
ECサイト運営者にとって、カゴ落ちは必ず対策すべき課題です。カートに商品を入れるという行動は、ユーザーの購入意欲が高いことを意味します。それにもかかわらず離脱が発生するのは、集客できていても売上に結びつかない構造的な問題があるためと言えるでしょう。
カゴ落ちが多いと、カート追加から購入に至る割合、つまりコンバージョンレート(CVR)が下がります。アクセス数や商品ページの閲覧数が多くても、カゴ落ちが頻発すれば売上が伸び悩む原因となります。
国内の調査によると、2024年1月~12月の期間に、月商500万円以上のECサイトで、カゴ落ちによる機会損失額は売上の約2.7倍に達していました(参照:株式会社イー・エージェンシー『<調査報告>ECサイトのカゴ落ち率は平均約63.3%、機会損失額は売上の約2.7倍』2025年3月)。
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カゴ落ちの計算式
カゴ落ち率は、ECサイトで商品をカートに入れたユーザーのうち、購入に至らなかった割合を示す指標です。
カゴ落ちの発生状況を正しく把握するには、まず自社のカゴ落ち率を計算して現状を可視化することが重要です。計算式は以下の通りです。
- カートに入れた商品数 – 購入した商品数 = 購入していない商品数
- 購入していない商品数 ÷ カートに入れた商品数 × 100 = カゴ落ち率(%)
この計算により、どの程度のユーザーが購入手前で離脱しているかを定量的に把握できます。分析ツールやレポート機能を活用して、継続的に数値を確認するとよいでしょう。
カゴ落ち率の平均
アメリカの調査によると、2025年時点で世界のECサイトにおける平均カゴ落ち率は70.22%に達しています。つまり、カートに商品を入れたユーザーのうち、約7割が購入を完了せずに離脱しているという結果です(参照:Baymard Institute『50 Cart Abandonment Rate Statistics 2025』2025年9月)。
カゴ落ち率が高いほど、潜在的な売上の取りこぼしも大きくなります。特に取扱商品数やトラフィックが多い大規模ECサイトほど、機会損失額も比例して増加します。
世界平均の約70%をひとつの目安とし、前述の計算式で自社のカゴ落ち率を算出してみましょう。自社がどの水準にあるのかを把握することで、優先的に取り組むべき改善ポイントが見えてきます。
カゴ落ちが発生する5つの原因
カゴ落ちは、ユーザーが購入の意思を持ちながらも、途中で離脱してしまうことで発生します。その背景には、費用面・手続き面・心理面など、さまざまな要因が関係しています。ここでは、特に多くのECサイトで見られる5つの代表的な原因を整理します。
1.想定外の送料・手数料など追加費用の高さ
カゴ落ちが起きる要因として多く見られるのが、購入段階で初めて明らかになる追加費用です。
商品価格だけを見て購入を決めたユーザーが、最終画面で高額な送料や手数料を目にすると、心理的な抵抗を感じて離脱してしまいます。特に送料無料を前提に比較検討するユーザーにとって、想定外の費用は「裏切られた感覚」として働きやすく、結果としてカゴ落ちにつながります。
2. 長く複雑な購入プロセス
購入手続きが煩雑で時間がかかることも、カゴ落ちの大きな要因です。
たとえば、アカウント作成を必須とする仕様や、入力項目の多いフォーム、複数ページにまたがるフローなどは、ユーザーに「面倒さ」や「手間」を感じさせます。このような状況では、ユーザーは購入意欲があっても購入手続きを中断し、別サイトに移るケースが少なくありません。
3. 利用できる決済手段の少なさ・不便さ
利用可能な決済手段が限られている場合、ユーザーが希望する支払い方法を選べないことを理由に離脱することがあります。
総務省が2024年に実施した「通信利用動向調査」によると、インターネットで商品を購入した15歳以上の人のうち、クレジットカード払いが79.8%と最も多く、次いで電子マネー(QRコード・楽天Edy・Suicaなど)による支払いが43.5%、コンビニでの支払いが33.7%でした。
前年からの伸び率をみると、電子マネー決済が5.0ポイント、クレジットカード決済も3.2ポイント上昇しており、キャッシュレス決済の需要が高まっていることがわかります。
▼インターネットを使って商品を購入する際の決済手段
参照:総務省『令和6年 通信利用動向調査報告書(世帯編)』2024年8月調査・2025年5月公開
こうした多様化を背景に、決済手段が限られるECサイトでは「使いたい支払い方法がない」という理由で離脱するユーザーが増加する傾向にあります。
KOMOJUが2024年に実施した調査結果によると、全体の約半数が「希望する支払い方法がなく、わずらわしさを感じたことがある」と回答しており、そのうち47%が別のECサイトで購入したとのことです(参照:KOMOJU『ECサイトでの決済方法に関する実態調査』2024年5月発表)。
つまり、決済手段の不一致は、機会損失だけでなく、競合サイトへの顧客流出にも直結していることがわかります。
4. クレジットカード情報入力への不安
セキュリティ面への不安も、カゴ落ちを招く大きな要因です。
特に初めて訪問するECサイトでは、「カード情報を入力して大丈夫だろうか」「このサイトは信頼できるのか」といった心理的なハードルが生じやすい傾向があります。このような不安を感じた瞬間に購入を控えるユーザーも多く、結果的にカートに商品を残したまま離脱してしまいます。
5. エラーや不具合による購入中断
システムエラーやページ読み込みの不具合も、カゴ落ちの原因として無視できません。
入力エラーや決済画面でのタイムアウトなどが発生すると、ユーザーは手続きを途中で諦める傾向があります。また、一度エラーを経験したユーザーは「また落ちたら嫌だ」と感じ、再訪を避ける傾向が強いことも報告されています。技術的な不備が、心理的な不信感として残る点も特徴です。
すぐに実践できるカゴ落ち対策
カゴ落ちは、購入プロセスや決済環境のわずかな不便さが原因で発生するケースが多く、改善対策の効果が見えやすい領域でもあります。ここでは、EC運営者がすぐに取り組むことができる代表的な7つの対策を紹介します。
1. 購入完了までのフローをシンプルに
カゴ落ち対策の基本は、購入フローをできるだけ短く、わかりやすくすることです。
入力項目が多すぎたり、ページを何度も遷移するような構造になっていたりすると、ユーザーは手間を感じて離脱してしまいます。フォームでの入力項目は必要最小限に絞り、視線の流れに沿ってスムーズに入力できるように設計しましょう。入力エラーが出た場合にその場で修正できるようにする、ステップ数を明示するなどの工夫も効果的です。
2. 利用しやすい決済手段を複数用意
離脱を防ぐには、ユーザーが普段利用している決済手段をカバーすることが重要です。自社の顧客層がよく使う決済手段を把握し、それらに対応することが購買完了率の向上につながります。
支払い方法がクレジットカード決済しかない場合、QRコードや電子マネーを利用したいユーザーが購入を諦めてしまうことがあります。利用実態に合わせた決済環境を整えることが、離脱を減らす最も効果的な方法のひとつです。
決済代行サービス「KOMOJU」を導入すれば、クレジットカード決済・コンビニ決済・銀行振込・PayPay決済など、国内外の主要決済手段を一括で提供できます。こうした複数の決済手段への対応により、ユーザーは慣れた方法でスムーズに決済できるため、離脱を防ぐことができます。
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3. 送料を分かりやすく明記・視覚化
購入時に「予想外の費用」が発生しないよう、送料や手数料はできるだけ早い段階で明確に表示することが重要です。最終画面で初めて金額の変化に気づいた場合、ユーザーが心理的な負担を感じて離脱してしまうこともあるでしょう。
商品ページとカート画面の表示金額を一致させ、「あと◯円で送料無料」といったバッジ表示を活用することで、費用面の不安を軽減できます。金額の透明性が信頼につながり、購入完了率の向上にも寄与します。
4. 離脱後のカートリマインドメールを送信
一度離脱したユーザーに再度購入を促すには、カートリマインドメールの活用が効果的です。
離脱後に「カートに商品が残っています」「在庫が残りわずかです」といった内容を送ることで、購入意欲を呼び戻すことができます。また、メール内で期間限定クーポンや送料無料特典を案内すると、再訪率と購入率の両方が向上しやすくなります。
5. 安心して購入できる環境の整備
6. Webサイトの表示スピードの改善
ページ表示の遅延は、ユーザーの離脱を招く代表的な原因です。特にスマートフォン利用者は数秒の遅れでもストレスを感じ、購入をやめてしまう傾向にあります。
ページの読み込み速度を上げるには、画像の圧縮・キャッシュの活用・不要スクリプトの削除といった基本的なチューニングが有効です。軽量で快適なページ設計が、ユーザーの購買行動を支える基盤となります。
7. 保証や返品ルールの明記
購入後の不安を減らすには、保証内容や返品ポリシーを明確に提示することが重要です。「届かなかったらどうしよう」「返品できるかわからない」といった疑問があると、ユーザーは購入をためらいます。
返品可能期間や送料負担の有無などを商品ページやFAQでわかりやすく示すことで、購入の心理的ハードルを下げることが可能です。安心感のある購入体験が、離脱防止とリピート促進の両方につながります。
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おすすめのカゴ落ち対策ツール
カゴ落ち対策は、自社での改善施策を行うだけでなく、専用ツールを活用することで効率的に進めることが可能です。ここでは、メール配信やリターゲティング、カートリマインドなどの機能を備えた代表的な3つのツールを紹介します。
1. リバコン(株式会社アクセル)
2. CART RECOVERY®(株式会社イー・エージェンシー)
画像引用:CART RECOVERY®
CART RECOVERY®(カートリカバリー®)は、株式会社イー・エージェンシーが提供する、カゴ落ちユーザーの再獲得に特化したマーケティングオートメーションツールです。
カート離脱者へのリマインドメール送信や、メール未登録の新規ユーザーにもアプローチできるカゴ落ち広告、リクエストメールなどの機能を搭載しており、複数チャネルを組み合わせたハイブリッドな訴求が可能です。
また、カゴ落ち商品の情報や、離脱時にユーザーが利用していたブラウザなどの情報をリアルタイムで把握できるほか、カゴ落ち後、最短15分で全ユーザーにリマインドメールを自動配信できます。さらに、時間帯を変えた複数のメール配信を設定できるため、経過時間に応じた最適なメッセージを届けることも可能です。
導入企業の実績では、カゴ落ちユーザーのうちCART RECOVERY®経由で購入に至った割合(リカバリー率)は平均約1.5%で、金額にすると1サイトあたり月平均約127万円の売上回復を実現しています(参照:株式会社イー・エージェンシー、ニュースリリース、2025年3月)。
導入スピードも速く、最短3営業日で運用を開始できる点も特徴です。
【費用】
- 初期費用:50,000円(税抜)
- 月額費用:39,000円(税抜)
3. Cuenote FC(カートリマインド機能)(ユミルリンク株式会社)
画像引用:Cuenote FC カートリマインド
Cuenote FC(キューノートエフシー)は、ユミルリンク株式会社が提供するメール配信システムに、カゴ落ちユーザーを可視化し、再アプローチを可能にするカートリマインド機能を搭載したツールです。この機能を活用することで、自社サイトでどのくらいのカゴ落ちが発生しているのかを把握し、離脱ユーザーへのリマインドメールを自動で送信できます。
カゴ落ちが発生してから最短15分後にメールを送信でき、また、開封率・クリック率の分析機能や配信結果のレポート機能も充実しています。
中〜大規模のECサイトで、顧客データを活用した継続的なリテンション施策を行いたい場合に適しています。
【費用】
- 初期費用:30,000円〜
- 月額費用:5,000円〜
- オプション費用:カゴ落ちメール
まとめ|カゴ落ち対策で売上アップを実現しよう
カゴ落ちは、ECサイトの売上に直結する重要な課題です。しかし、原因を正しく把握し、購入フローや決済環境を改善することで確実に成果を上げることができます。
今回紹介したように、購入手続きの簡略化や決済手段の拡充、送料の明示、セキュリティ体制の強化といった施策は、すぐに実践できる基本的な対策です。さらに、リマインドメールや専用ツールを活用すれば、離脱したユーザーを再び購入に導くことも可能です。
まずは自社サイトの「どの段階でユーザーが離脱しているか」を把握し、優先度の高い箇所から段階的に改善を進めてみてください。
この記事はKOMOJUが提供しています。
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