インバウンド需要拡大! ECサイトで今すぐ取り組むべき対策とは?

インバウンド需要 ec
最終更新日:2024 年 12 月 13 日

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近年、訪日外国人旅行者の増加に伴い、インバウンド需要は日本の経済成長のための重要な柱となっています。

特にECサイト運営者やマーケティング担当者にとって、インバウンド需要を活用した越境ECは、大きなビジネスチャンスを秘めています。しかし、訪日客の購買傾向を理解し、越境ECを成功させるには、最新の市場動向や具体的な施策を押さえることが不可欠です。

本記事では、最新のインバウンド需要のトレンドや訪日外国人旅行者の購買行動を紐解きながら、ECサイト運営において成功を収めるための施策や事例をご紹介します。

インバウンド需要とは

インバウンド需要とは

インバウンド需要とは、外国人旅行者による日本国内の商品・サービスへの購買欲やニーズのことです。インバウンド(inbound)は、英語で「(航空機・列車・船などが)入ってくる、到着する」という意味の単語で、旅行業界などでは「海外からの観光客」という意味も持ちます。

日本では人口減少・少子高齢化が進む中、国内需要だけでなく海外からの観光需要を取り込むことで、経済の活性化や雇用拡大につなげたいとして、日本政府の方針としてインバウンド対策に力を入れています。

なお、インバウンド消費は、GDP統計の「サービス輸出」の項目で、2019年時点で4.6兆円です。2019年の貿易統計の主要品目別対世界輸出額のランキングを見ると、1位が自動車で12.0兆円、続く2位が半導体等電子部品で4.0兆円となっています。(参照:経済産業省『通商白書2023(第Ⅱ部 第2章 第3節 我が国経済の成長のけん引役として期待されるインバウンド需要)』2023年9月)

訪日外国人旅行者数の推移と今後の期待

2019年には訪日外国人旅行者数が最高記録を更新し、約3,188万人がショッピングや観光地めぐりを目的として訪れています。ただ、2020年には新型コロナウイルス感染症の影響により、訪日外国人旅行者数は前年比で87.1%減少しました。しかし、2022年になると、6月から段階的に入国規制が緩和され、10月には観光目的での外国人受け入れが再開されたことにより、訪日外国人旅行者数はまた徐々に増加し始めました。2023年には約2,507万人の外国人旅行者が日本を訪れており、体験型観光や地方観光の需要も高まっています。

訪日外国人旅行者数の推移

参照:国土交通省 観光庁『令和6年版観光白書(第 I 部 観光の動向)』2024年5月

今後もインバウンド需要は増加すると見込まれています。2025年に開催予定の「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」を追い風として、インバウンドをさらに拡大させて日本経済を底上げしようという期待が持たれています。

インバウンド需要が注目されている理由

インバウンド需要が注目されているのは、以下のようなメリットや期待があるからです。

経済活性化への寄与

インバウンド観光は、日本国内に外貨を流入させる重要な手段であり、国際収支の改善に寄与します。特に中国や東南アジアの中間所得層による海外旅行の増加や、格安航空会社(LCC)による路線増加によって、日本への外国人旅行者も増えているため、新たな経済成長エンジンとして期待されているのです。

また、円安もインバウンド需要を高める要因になっています。2012年に1ドル80円前後まで円高が進んだ後、円安傾向が続き、2024年6月には37年半ぶりの円安ドル高水準を更新し、1ドル160円台半ばにまで円安が進みました。

円安は、訪日外国人観光客に日本の商品・サービスを割安に感じさせ、インバウンド需要を押し上げます。宿泊や飲食、交通、買い物などの支出が増えるため、観光地の経済活性化が期待できます。

少子高齢化社会における需要創出

少子高齢化が進む日本では、国内の消費が縮小傾向にあるため、訪日外国人による消費でその分を補うことが期待されています。

特に人口減少が加速する地方においては、外国人観光客の呼び込みに力を入れています。地方でインバウンド需要を押し上げ、インフラ維持や地方創生につなげたいと考えられているのです。

日本文化の発信と文化的価値の向上

インバウンド需要の高まりは、日本の伝統文化や食文化、自然の魅力などを世界に広めるチャンスを増加させます。外国人観光客は伝統工芸や農村文化など、地域固有の観光資源に高い関心を持っています。最近は都市部だけでなく地方への旅行も増えており、地域経済においても利益をもたらしているのです。

訪日外国人観光客が増えることは、日本という国のイメージ向上にも有効的で、外交政策にもポジティブな影響を与えると考えられています。日本政府は日本を「観光立国」として経済成長戦略の柱に観光を据え、2025年の大阪・関西万博のような国際イベントでさらに文化的価値とインバウンド需要を引き上げようとしています。

インバウンド需要はEC市場に影響を与えるのか?

インバウンド需要というと観光地の店舗での消費にのみ影響があるように思われがちですが、実はEC市場にもポジティブな影響があります。

訪日外国人観光客が増えることで、帰国後に日本国内の商品・サービスをもう一度購入したいと考えてもらえる機会が増えます。すると、外国人が日本の商品・サービスを購入できる「越境EC」の利用が拡大するのです。

日本貿易振興機構(JETRO)によると、訪日経験のある中国消費者に「なぜ越境ECを使って日本の商品を購入したか?」という質問をしたところ、「日本に旅行をしたときに購入して気に入った製品だから」と答えた消費者が、2017年8月調査では40.4%、2018年8月調査では21.6%存在しました。このことから、日本滞在時に実際に商品に触れて目で確認し、信頼できると感じた経験が起点となって、越境ECの利用が促進されたと推測できます。

(参照:経済産業省『令和5年度 電子商取引に関する市場調査 報告書』2024年9月)

さらに2022年には、円安がプラスに働き、原料費や輸送費の高騰というマイナス要因を上回って、越境ECの流通額が増加しています。具体的には、円安になったために、購入をためらっていたユーザーが越境ECを利用するようになったり、割安感によるまとめ買いが促進されたり、ブランド時計など高額商品の販売が好調となり客単価が伸びたりしました。

(参照:経済産業省『令和4年度 電子商取引に関する市場調査 報告書』2023年8月)

このような海外ユーザーの動きがあることから、ECサイト運営を行う事業者は、インバウンド需要の高まりに応じた対策を行うと売上アップが期待できます。

インバウンド需要を取り込むためのEC施策

インバウンド需要を取り込むためのEC施策

では、具体的にどのような対策でインバウンド需要をオンライン側に取り込めばよいのでしょうか。ここではECサイトそのものに行う施策や、ECサイトと連動させた施策をご紹介します。

来店した外国人観光客をECサイトに誘導

帰国後にもう一度購入するニーズがあることを踏まえて、実店舗に来店した外国人観光客に、ECサイトの存在を知ってもらうとよいでしょう。

具体的な方法として、店頭に英語など外国語でパネルやポスターを貼り、商品や決済方法の紹介とあわせて、ECサイトへ遷移するQRコードを読み込める状態にする方法が挙げられます。QRコードで読み取る遷移先のページは外国語で表示されるようにしましょう。

他にも、実店舗での商品販売時に、ECサイトを紹介するチラシを手渡したり、ECサイトの情報を印刷した包装紙や袋を使ったり、商品やお店の写真をSNSに投稿してよいことを伝えたりすることで、ECサイトへの導線を増やせます。

海外向けのSNSを運用

商品が気になっている海外の人に向けて、SNSで商品情報を発信することでも、ECサイトへの流入増加が期待できます。YouTubeやTikTokなど動画でわかりやすく紹介できるツールを使うと、商品の魅力や使い方を理解してもらいやすくなるでしょう。

観光庁による訪日外国人観光客への調査結果によると、出発前に役立った旅行情報源は、「動画サイト」が37.6%、「SNS」が35.8%、「個人のブログ」が23.1%であり、日本滞在中に役に立った旅行情報源の1位は87.7%で「スマートフォン」でした。

(参照:国土交通省 観光庁『訪日外国人の消費動向 インバウンド消費動向調査結果 2024年4-6月期 報告書』)

動画サイトやSNSでの情報発信と、滞在期間中にスマートフォンで調べられる環境を用意することがインバウンド需要を取り込む重要なポイントとなりそうです。

多言語に対応

帰国後にアクセスするECサイトが日本語だった場合、購入ハードルが高くなり離脱してしまう可能性があります。翻訳ツールなどを使わずに安心して購入してもらえるよう、ECサイトは多言語で表示できるようにすることをおすすめします。

まずは訪日外国人旅行者が使用する言語として多い、英語や中国語、韓国語などに対応できるようにしましょう。具体的には、ECサイトを構築したプラットフォームのオプション機能やプラグインなどにより、多言語で表示できるようになります。

海外配送を整備

商品の配送先として、海外の住所を指定できるようにする必要があります。国名・州名・住所などを入力すると、最適な配送方法や送料が表示されるようにすることもポイントです。

手軽かつ低コストで利用できる配送方法は、日本郵便が提供する「EMS(国際スピード郵便)」です。120ヶ国以上に配送できますし、配達状況を追跡できるので安心です。

また、関税や輸入規制がかかる商品があることにも注意する必要があります。国によっては税関で配送が止められてしまう場合や、そもそも輸入制限により配送できず処罰を受ける場合があるのです。

販売地域ごとのルールを把握し、関税の負担を消費者と販売者のどちらにするのかを決めて、国際配送業者と提携することがポイントです。

決済サービスを多様化

海外ユーザーが日頃から利用している決済サービスを導入して、商品代金をスムーズに支払えるようにすることも大切です。

欧米ではPayPal、中国ではAlipayWeChat Payといった第三者支払いサービスが人気です。韓国ではクレジットカード決済のほか、Kakao PayNaver Payといったスマホ決済や、プリペイド決済などもよく利用されています。

複数国の決済サービスをまとめて導入するには、決済代行サービスの利用が便利です。複数の決済サービスの一括導入だけでなく、入金管理などもまとめて行えます。

決済代行サービス「KOMOJU」なら、日本・韓国・中国・東南アジア・ヨーロッパ・ブラジルで普及している主要なオンライン決済方法に対応できます。

インバウンド需要を活用したEC事例

インバウンド需要の高まりにあわせてECサイトを活用して成功した事例をご紹介します。

事例1. 靴下専門ブランド「Tabio(タビオ)」

靴下専門ブランド「Tabio(タビオ)」

画像引用:https://tabiousa.com/

「Tabio」は日本以外にヨーロッパ・中国・アメリカにも実店舗を持つ靴下専門ブランドです。2021年に越境ECに参入し、中国・台湾圏の顧客を中心に販路を拡大しています。

ユーザーインタビューによると、訪日した台湾の消費者が日本でたまたま通りかかったお店でTabioを見つけて、着心地がよいと感じてブランドを覚えていたようです。帰国後にTabioを検索しているうちに、台湾向けに越境ECを運営していることを知り、購入に至っています。

事例2. グッズ販売サイト「Tokyo Otaku Mode(トーキョーオタクモード)」

グッズ販売サイト「Tokyo Otaku Mode(トーキョーオタクモード)」

画像引用:https://otakumode.com/shop

日本のアニメやマンガ関連のグッズを販売する「Tokyo Otaku Mode」は、日本のオタク文化に関心がある海外ユーザーに向けて、グッズを手軽に購入できる越境ECサイトを運営しています。

Facebook上で日本のポップカルチャー情報を発信することで、越境ECサイトの認知も広めていき、現在ではアメリカ・カナダ・フランスなどを中心とする約100ヵ国以上に販路を拡大しています。

事例3. ディスカウントショップ「多慶屋」

ディスカウントショップ「多慶屋」

画像引用:https://takeya.co.jp/english

東京・御徒町に実店舗を構えるディスカウントショップ「多慶屋」には、年間40万人以上の外国人観光客が訪れており、帰国後にリピート購入してもらう目的で越境ECサイトを始めました。

実店舗でECサイトを紹介するチラシを配布したり、中国からのインバウンド需要に向けてAlipayを導入したりすることで、購入者数を増やしていっています。

まとめ|インバウンド需要拡大を活用したEC施策を適用しよう

今回はインバウンド需要の拡大や、注目されている理由、そして越境ECにおける対策などをご紹介しました。

訪日外国人観光客が帰国後に日本の商品を購入しているという行動を押さえて、越境ECに参入して売上を伸ばしていきましょう。

越境ECサイトには複数の国・地域の決済サービスを導入することが重要です。決済代行サービス「KOMOJU」なら、日本の決済サービスはもちろんのこと、韓国・中国・東南アジア・ヨーロッパ・ブラジルの主要な決済サービスを導入可能です。初期費用・月額費用は無料で、入金サイクルも月次・週次から選べます。あわせて検討してみてください。

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