この記事はKOMOJUが提供しています。
KOMOJU(コモジュ)は個人から世界的大企業まで様々な事業者が利用している日本の決済プラットフォームです。
EC事業の展開、もしくは展開を検討している方の中で、「EC」と「ECサイト」の違いをよく理解していない方もいるでしょう。
今回は、ECの定義・ECサイトとの違い・取引形態ごとの特徴をご紹介します。また、EC化するメリット・EC事業における課題・ECサイトの作り方も解説します。
これからECに取り組もうと検討している方は特に、ECの基礎を押さえてみてください。
ECとは?
ECとは「Electronic Commerce(エレクトロニック コマース)」の略で、日本語では「電子商取引」という意味です。インターネット上で、商品の売買をしたり契約を結んだりすることを指します。「eコマース」とも呼ばれます。
ECを導入すれば、オンライン上で買い物(売買・契約・決済)を実現でき、事業者は実店舗を持たずに事業展開できます。
ECとECサイトの違いとは?
「EC」と「ECサイト」との違いは、示している範囲の広さです。
EC (Electronic Commerce) は、「eコマース」「電子商取引」などと呼ばれ、インターネット上の商取引全般を指しています。一方、ECサイトは「ネットショップ」「ネット通販サイト」などのことで、オンライン上で商取引を行うサイトのことを指しています。
ECの取引形態の種類
ECの取引形態は「BtoB」「BtoC」「DtoC」「CtoC」の4種類です。これらの違いは、売り手と買い手が企業が消費者かの組み合わせにあります。
各種類の意味とあわせて、経済産業省が行った電子商取引に関する市場調査の結果などから、取引形態ごとの市場規模も見ていきましょう。
BtoB EC
BtoB ECとは、企業同士で商品やサービスを取引する、企業間電子商取引のことです。企業が企業に向けて展開するECのことを指しています。BtoBは「Business to Business」の略です。 具体的には、商品を作るための機械やオフィスに設置するものを企業向けに売ります。
2022年のBtoB EC市場規模は、前年比12.8%増の420兆2,354億円でした。製造業・情報通信業・運輸業・サービス業など全体的に市場規模が伸長しており、中でも運輸業の伸びがここ数年で見ても安定しています。製造業・情報通信業・サービス業は伸び続けてはいるものの、2022年に入って動きが鈍化しました。
画像引用:経済産業省「令和4年度 電子商取引に関する市場調査」(P.91)
BtoC EC
BtoC ECとは、企業が消費者に対して商品やサービスを提供する電子商取引のことです。つまり、会社や店が一般の人に向けて展開するECのことを指しています。BtoCは「Business to Consumer」の略です。
2022年のBtoC EC市場規模は、22兆7,449億円でした。前年比で2兆499億円の増加です。
BtoC EC市場は3つの分野に分かれています。ネット通販サイトでの販売が中心となる「物販系」、チケット販売や美容院などのオンライン予約を含む「サービス系」、電子書籍・ゲーム・音楽などのコンテンツ配信を行う「デジタル系」の3種類です。
2022年の「物販系」のBtoC EC市場規模は、前年比5.37%増の13兆9,997億円でした。BtoC EC市場規模全体の約7割を占めている大きな市場です。
2020年から2021年までは、新型コロナウイルス感染症拡大への対応で、外出自粛が広がりECの利用が急拡大しました。2022年は外出機会が増えましたがEC化率の増加傾向は続いていることから、EC化の流れはどんな状況下であっても進んでいくと見て取れます。
画像引用:経済産業省「令和4年度 電子商取引に関する市場調査」(P.5)
DtoC EC
DtoC ECとは、企業・個人などの生産者が、仲介業者を入れずに商品やサービスの企画・製造・販売を消費者に直接行う電子商取引のことです。DtoCは「Direct to Consumer」の略です。
「株式会社売れるネット広告社」の市場動向調査によると、2020年のDtoC EC市場規模は、2兆2,200億円でした。今後の予測では、2025年には3兆円を超えるとされています。
もともとDtoCはアパレルや化粧品などの分野で広がっており、最近では食品メーカーや日用品メーカーなどもDtoCでの販売を手掛ける動きが見られます。これから成長していくと言われている市場です。
CtoC EC
CtoC ECとは、個人同士で行う電子商取引のことです。フリマアプリとネットオークションが当てはまります。CtoCは「Consumer to Consumer」の略です。
2022年のCtoC EC市場規模は、前年比6.8%増の2兆3,630億円でした。
ネットオークションに加えて、2012年頃からフリマアプリが登場して急激にCtoC EC市場が拡大しています。直近では外出自粛や在宅勤務の影響で、家の中を整理して出品するユーザーが増え、さらに市場が広がると推察されています。
画像引用:経済産業省「令和4年度 電子商取引に関する市場調査」(P.8)
【事業者側】ECのメリット
事業者がEC化に対応することで得られるメリットは以下のとおりです。
1. 時間と場所の制約なく販売できる
ECでの商品販売に対応できれば、24時間365日いつでも販売できます。また、日本だけでなく世界をターゲットとして販売できます。お店をオープンしている時間が長くなり販売地域も広がれば、見込み顧客層が増え、売上拡大を期待できます。
実店舗での販売では、店員が消費者の対応をする必要がある上、消費者が店舗まで訪れなければなりません。その点、EC化すると、人件費を抑えながら見込み顧客を増やすことができるのがメリットです。
また最近では、オンライン上で顧客対応ができるチャットボットツールなどを導入するECサイトも増えています。簡単な質問に自動的に回答できるようにして、ECサイトを訪れた顧客を取りこぼさないことが可能です。
2. 取得したデータをもとに分析できる
ECサイトで販売すると、消費者の基本情報やサイトでの行動履歴などをデータで把握できます。このデータをもとに分析すれば、より消費者が使いやすい・購入しやすいECサイトへと改善することができるようになります。
実店舗でもデータを取得できますが、消費者のおおよその年代と、いつ何を何個購入したか、といった簡易なデータに限られます。EC化すれば、消費者が購入はしなかったもののカゴに商品を入れるところまでは行動したなど、より細かな状況がわかります。そこで会員登録時に設定したメールアドレス宛てに、カゴに商品が入ったままであることを知らせたり、消費者が興味のありそうな新商品やキャンペーン情報などをメールマガジンとして配信したりする対策が可能です。
その他、配送先の情報からは、消費者の居住地の分布を把握できるため、地域限定クーポンを発行するなどの施策もできるでしょう。
このように消費者のデータはその後のマーケティング施策に活かせます。さらにMA・CRMツールと連携することで、よりスムーズに顧客育成や売上拡大の施策を打つことが可能です。
3. 店舗の家賃やカタログ印刷費などがかからない
実店舗の出店にかかる初期費用・毎月かかる家賃・人件費・光熱費などを削減できます。通信販売は店舗の管理がなくても、消費者へカタログの郵送が必要ですが、EC化すればカタログの印刷費・配送費などもかかりません。
EC対応により発生する費用は、ECサイトの構築費用またはサービス利用料、オンライン決済手数料などです。実店舗やカタログなどで販売するよりも、格段に費用を抑えて販売できるのがメリットです。
【消費者側】ECのメリット
消費者にとってECでの買い物は、以下のようなメリットがあります。
1. 自宅から日本中・世界中の商品を購入できる
ECサイトなら、場所や時間を選ばず、いつでもどこからでも自由に商品を購入できます。日本に限らず海外の商品も手軽に手に入れられます。
最近ではさまざまな種類の決済手段を利用できるECサイトも増えているため、実店舗よりも支払いしやすい可能性もあります。ECサイト上での決済は、クレジットカード決済・コンビニ決済・キャリア決済などが多いです。他にも、後払い決済・ポイント払いなどが利用できるECサイトもあります。
海外への販売に対応している「越境EC」で制作されたECサイトなら、多言語・多通貨対応しているため、日本からでも簡単に海外の商品を購入できるでしょう。
2. 複数のサイトで商品を比較検討しやすい
オンライン上の買い物なら、実店舗よりも気軽に複数のECサイトで商品を比較できます。商品の特徴や価格を比較し、求めているものをより探し出すことができるでしょう。
ECサイトによってはクーポン配布や期間限定セールなどのキャンペーンを実施している場合があります。よりお得に購入できるサイトを探しやすいのも、ECサイトでの買い物の嬉しいポイントです。
3. 実店舗にない商品の在庫を確認して購入できる
実店舗で気に入った商品を見つけても、カラーやサイズが合わない場合があります。ECサイトなら店舗ごとではなくオンライン上で商品が一括管理されているため、在庫確認と購入がスムーズです。入荷待ちの場合でも、入荷タイミングでメールでのお知らせが届くようになっているECサイトもあるため、あらためて店舗を訪れる必要がありません。
ECサイトと実店舗の流通経路を統合させた状態を「オムニチャネル」と言い、実店舗を持つ事業者としては意識して取り組むとよいポイントです。実店舗で気に入った商品のサイズがなくても、その場でECサイトの在庫確認をし決済を済ませ、消費者の自宅に届くように手配することができます。
ECサイトによっては、配送料が条件つきで無料の場合もあります。コストを抑えて商品を受け取ることができます。
EC事業が抱える3つの課題
事業者が商品販売をEC化するにあたって直面する課題が、大きく3つあります。課題とともに解決策・対応方法をご紹介します。
決済手段への対応
決済手段とは、クレジットカード払いやコンビニ払いなどお金を支払う方法です。EC事業の展開にあたり、幅広い決済手段に対応しておくことが求められます。なぜなら、消費者が利用する決済手段は多様化しており、普段から利用している決済手段が使えないことがECサイトの離脱率を高めてしまうからです。
実際に、「よく利用している決済手段がない場合、53%以上の消費者が商品を購入せずにECサイトを離脱する」との結果がSBペイメントサービス株式会社の「ECサイトにおける決済手段の利用実態調査(2022年度)」によって明らかになっています。商品をショッピングカートに入れたまま決済に進まない「カゴ落ち」を防ぐためにも、事業者は幅広い決済手段に対応することが重要です。
画像引用:総務省「令和5年 通信利用動向調査報告書(世帯編)」(P.34)
上記の総務省の調査報告書からも分かるとおり、76.7%がクレジットカード決済を利用しており、76.7%がクレジットカード決済を利用しており、次いで電子マネー決済やコンビニ決済などが利用されています。特に2021年(令和3年)から2023年(令和5年)にかけて利用率が急増しているのが、QRコード決済などを含む電子マネー決済です。
ECサイトの離脱率を下げるためにも、よく利用されている決済手段を導入できるようにしましょう。具体的には以下のような決済手段です。
- クレジットカード決済
- コンビニ決済
- スマホ決済(PayPayなどのQRコード決済)
- 電子マネー決済(交通系ICカード、楽天Edyなど)
- キャリア決済
- 銀行振込・口座振替
- 代金引換
- その他(後払いなど)
なお、複数の決済手段を簡単に導入できる決済代行サービスを利用すると、決済手段ごとに審査・契約を行う必要がないため便利です。決済代行サービス「KOMOJU」なら、初期費用・月額費用が完全無料で、最短即日で導入できます。コンビニ決済やスマホ決済にも対応している他、ヨーロッパ・中国・韓国・アジア太平洋地域の決済手段にも対応可能です。
セキュリティ面
クレジットカード決済の利用率が高い中で、クレジットカードの不正利用被害も増えています。不正利用を防止するべく、事業者はECサイトのセキュリティ面を強化することも重要です。
一般社団法人日本クレジット協会が発表した「クレジットカード不正利用被害の発生状況」によると、2022年の不正利用被害額は、前年比32.3%増の4,367億円と増加傾向にあります。そのうち、番号盗用被害額は4,117億円と、全体の9割以上を占めています。
事業者は、クレジットカード番号を含む個人情報の漏洩を防ぎ、クレジットカードの不正利用によるトラブルを避けるための対策が必要です。具体的な対策は「クレジットカード・セキュリティガイドライン」に取り決めがあります。
2023年3月には改訂され【4.0版】が出ています。一部をご紹介すると、すべてのEC加盟店はセキュリティ対策を実施した上で、2025年3月末までにEMV3-Dセキュア(※)を導入することが求められています。
(※) 国際ブランドが推奨する本人認証サービス。別称「3Dセキュア2.0」。
詳細はガイドラインを確認し対応してください。
配送・出荷
ECでの商品販売が軌道に乗ってくると課題になるのが、商品の配送・出荷作業です。注文が多く入れば入るほど、出荷準備に時間がかかってしまい、商品の到着が遅くなることで消費者の満足度が下がる可能性もあります。
商品が消費者に届くまでに必要な業務を「フルフィルメント」と言い、具体的には「入荷・検品」→「商品保管」→「受注処理」→「ピッキング」→「検品」→「梱包」→「発送」のプロセスを指しています。
配送・出荷にかかる業務は、運用代行会社に直接外注するケースもあれば、ECサイト提供会社によるフルフィルメントサービスを利用して委託するケースもあります。
ECモールで代表的な「Amazon」では、「フルフィルメント by Amazon(FBA)」のサービスがあり、Amazonに配送業務を任せることができます。また、世界中で利用されているECサイト「Shopify」では、Shopifyに対応したアプリを使って連携するパターンと、独自にフルフィルメントサービス業者と契約するパターンが用意されています。
まとめ|EC事業の課題をクリアし、EC化に対応しよう
今回はECの基礎として、取引形態ごとの特徴や市場規模、EC化するメリットをご紹介しました。
EC事業には決済手段・セキュリティ面・配送にまつわる課題があります。ECサイト構築において検討すべきポイントもさまざまです。
しかし、いずれの取引形態であってもEC事業の市場規模は拡大しており、ECサイトの利用者は増えています。売上拡大を目指すなら、ECサイトでの販売に対応できるよう、一つずつ課題を解消しながら準備してみてください。
特に、ECサイトからの離脱を防ぐため、幅広い決済手段に対応したいなら、決済代行サービスを利用し、まとめて世界中の決済手段をカバーできるようにすることがおすすめです。日本だけでなく海外の決済手段にも対応できる決済代行サービス「KOMOJU」を検討してみてください。
【この記事の監修者】
豊田 亮太
グロースマーケター
Shopify Japanの初期メンバーとして、日本市場におけるShopifyの普及に貢献。ECプラットフォーム、決済代行サービス等に関して豊富な知見を持つECのエキスパート。LinkedInページ:https://www.linkedin.com/in/ryota-toyoda-b45127138/
この記事はKOMOJUが提供しています。
KOMOJU(コモジュ)は個人から世界的大企業まで様々な事業者が利用している日本の決済プラットフォームです。