ECプラットフォームとは? 主要な種類の比較と選び方を解説

ECプラットフォーム
最終更新日:2023 年 06 月 14 日

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ECサイトの立ち上げやリニューアルにあたって検討したいのが、ECサイトをどのように構築・運用するかです。ECサイトの構築には、ベースとなるシステムとして「ECプラットフォーム」が必要です。

ECプラットフォームにはさまざまな種類があり、適切なプラットフォームを選ぶことが大切です。本記事では、ECプラットフォームを活用するメリット・デメリット、ECプラットフォームの種類の比較、選定ポイントを解説します。

ECプラットフォームとは?

ECプラットフォームとは

ECプラットフォームとは、ECサイトを構築するソフトウェアもしくはシステムのことです。

ほとんどのECプラットフォームで、構築以外の運営に必要な機能も搭載しています。

ECプラットフォームにはさまざまな種類があり、大きく分けると以下の5種類です。

  • ECモール
  • ASPカート
  • クラウドEC
  • ECパッケージ
  • オープンソース

それぞれの特徴については後述しますが、ECプラットフォームの選定にあたって、運用したいECサイトに必要な機能や外部サービスとの連携などの観点から比較する必要があります。

ちなみに、ECプラットフォームを使わないでフルスクラッチでECサイトを構築することも可能です。

ECプラットフォームを活用するメリット

ECプラットフォームを活用するメリットは、自社でECサイトをゼロから立ち上げた場合と比較すると分かりやすいでしょう。以下のようなメリットが考えられます。

  • 集客力が高い
  • コストを抑えてECサイトを構築できる
  • セキュリティやアップデートもプラットフォーム側が対応してくれる
  • 手軽に在庫管理や顧客管理などができる
  • デザインやカスタマイズ性が高い

選択するECプラットフォームによって享受できるメリットは異なりますが、上記のようなメリットが想定されます。

自社のECサイトで不安な点が集客力なのであれば、集客力を強みに持つECプラットフォームを利用するとよいでしょう。手軽に在庫管理や顧客管理を行いたい場合は、基幹システムと連携できるECプラットフォームを活用することで、スムーズに管理できるようになります。

ECプラットフォームを活用するデメリット

ECプラットフォームを活用するデメリット

その一方で、ECプラットフォームを活用したときのデメリットもあります。

  • プラットフォーム手数料がかかる
  • 完全に自由なカスタマイズができない

ECプラットフォームの利用には手数料がかかり、自社でECサイトを運営するよりも費用がかさむケースがあります。また、ECプラットフォームによってはカスタマイズに限界があり、思うようなサイトを構築できない可能性もあります。

このようなデメリットを想定した上で、自社に合うECプラットフォームを選定する必要があるでしょう。

ECプラットフォームの種類

ECプラットフォームの種類

では、ECプラットフォームのさまざまな種類について、特徴やメリット・デメリットを簡単に解説します。ECプラットフォームは大きく分けると、以下の5つです。

  • ECモール
  • ASPカート
  • クラウドEC
  • ECパッケージ
  • オープンソース

【ECプラットフォームの比較表】

 

年商規模

初期費用

月額費用

カスタマイズ

構築期間

代表的なサービス

ECモール

〜1億円

0〜数万円

0〜数万円

不可

最短2週間

Amazon、楽天市場、Yahoo! ショッピング 等

ASPカート

〜10億円

0〜数十万円

0〜数万円

不可 / 可

最短1週間

BASE、STORES、MakeShop、Shopify 等

クラウドEC

1〜20億円

300〜500万円

数十万円

最短3ヶ月

ebisumart、MakeShop for クラウド、W2 Commerce 等

ECパッケージ

1〜20億円

300〜1,000万円

数十万円

最短3ヶ月

ecbeing、EC-Orange、コマース21 等

オープンソース

1〜10億円

数百万円〜

数十万円

長期間

WordPress、EC-CUBE、Magento 等

ECモール

ECモールとは、複数のブランドや店舗が、一つの大きなサイトに集まって出店している形式のプラットフォームです。大手ECモールといえば、Amazonや楽天市場、Yahoo! ショッピング、ZOZOTOWNなどが挙げられます。

ECモールを活用するメリットは、集客力の高さです。検索にヒットすれば出店して間もないタイミングでも集客できます。時間やコストがかかるSEO対策やWeb広告、SNSマーケティングなどを行わずとも、ECモールの利用ユーザーが訪問してくれる可能性があるのです。

また、出店申請をするだけで簡単にECサイトを構築できるのも、ECモール活用のメリットです。サーバーの準備、独自ドメインの取得、デザインやコーディングが不要で手間がかかりません。

一方、ECモール内に出店すると、他のブランドや店舗と比較されるため、価格競争になりやすいのがデメリットです。なるべく価格競争にならないように、自社のブランド力を高めることが重要です。ただし、ECモールのデザインや機能には制限があるため、ブランドの特色を出すのも難しいでしょう。

ASPカート

ASPカートとは、クラウド上のシステムを使ってECサイトを構築・運営できるプラットフォームです。自社サーバーにソフトウェアをインストールする必要がなく、フォーマットをもとに手軽にECサイトを構築できます。代表的なASPカートには、BASEやSTORES、MakeShop、Shopifyなどがあります。

ASPカートのメリットは、クラウド上のサービスだからこそ、セキュリティや機能が常に自動でアップデートされる点にあります。運用保守を行う必要もありません。

また、初期費用・月額費用ともに無料で利用できるサービスもあり、コストを抑えることができます。販売金額に応じた手数料はかかりますが、ECモールに出店したときに支払う利用手数料よりもコストはかかりません。

デメリットとしては、デザインや機能のカスタマイズ性の低さが挙げられます。フォーマットやテンプレートを活用して構築するため、思い通りのデザインにすることが難しい場合があります。なお、ShopifyなどのASPカートでは、デザイン性も優れており、直接コード編集もできるので、D2Cと呼ばれるビジネスモデルでブランドを重視する企業に選ばれています。

クラウドEC

クラウドECは、ASPカートと似ており、ECサイトの構築・運営をクラウド上で行うプラットフォームです。代表的なクラウドECに、ebisumartやMakeShop for クラウド、W2 Commerceなどがあります。

ASPカートとの違いは、デザインや機能のカスタマイズ性の高さにあります。これがクラウドECのメリットの一つです。外部システムとの連携にも優れています。

しかし、クラウドECの構築・運用には高額なコストが発生します。目安として年商1〜20億円規模のECサイトでないと導入は難しいといわれています。

ECパッケージ

ECパッケージとは、ECサイトの構築・運用に必要な機能をパッケージとして搭載しているプラットフォームです。体系的に機能が揃えられているため、基本的な運用を行うことができます。代表的なECパッケージは、ecbeingやEC-Orange、コマース21などです。

ECパッケージは、ECサイトに必要な機能が揃っていることに加え、カスタマイズの自由度の高さがメリットとして挙げられます。その反面、導入コストが高く、初期の資金力に余裕がなければ導入は難しいでしょう。また、パッケージとしての導入のため、最新システムを取り入れられないのもデメリットです。

オープンソース

オープンソースとは、インターネット上に無償で公開されているプログラミングのソースコードを活用して自社でサイトを構築する手法です。オープンソースのECサイトとしては、WooCommerceが有名でしょう。EC-CUBE、Magentoなども利用されています。

オープンソースのメリットは、デザインや機能など自由にカスタマイズしてECサイトを構築できる点にあります。ベースとなるソースコードを活用すれば、コストや手間をかけすぎずに構築できます。機能追加にはプラグインも利用可能です。

しかし、構築には専門知識が必要になるのがデメリットです。プログラミングの知識がないとオープンソースを活用するのは難しいでしょう。

ECプラットフォーム選定のポイント

ECプラットフォーム選定のポイント

さまざまな種類があるECプラットフォームですが、どのような観点で選定するとよいのでしょうか。

ECプラットフォームの導入前に、実現したいことや今後数年でどのように事業を発展させていきたいかをイメージし、実現に必要な要素や機能を洗い出すことをおすすめします。

ポイント1 機能の充実度

まず、ECプラットフォームに搭載されている機能が充実しているか、必要な機能がそなわっているかを確認しましょう。

機能やデザインのカスタマイズ性が低いのは、ECモールとASPカートです。ECプラットフォームとして必要最低限の機能は搭載されていますが、思い通りに構築できないため、事前に欲しい機能があるかを確認することをおすすめします。

例えば、顧客情報や在庫管理などを、既存の外部サービスと連携して管理したい場合、基幹システムなど外部サービスとの連携が可能なECプラットフォームを選ぶ必要があります。

また、事業が成長していくにつれ、カスタマイズしたい機能が出てくる可能性があります。サイト改修であとから機能を追加できるかどうかも見ておきましょう。

ポイント2 利用手数料などのコスト

機能の充実度とあわせて見ておきたいのが、利用にかかるコストです。毎月の固定費用になるため、できる限りコストを抑えられるようにしたいものです。

事業を始めたばかりの事業者やフリーランスの場合、無料で利用できるECプラットフォームから始めるのもよいでしょう。その際、どのくらいの販売手数料がかかるのかも重要なチェックポイントです。

ただし、コストを抑えることを考えるあまり、自社ブランドの販売戦略やブランドイメージに合わないECプラットフォームを選んでしまうと、かえってブランドの成長には遠回りになってしまいます。機能やデザイン、集客力、ブランド力などの観点からも、バランスをよく見て比較してください。

ポイント3 セキュリティ、サポート体制

セキュリティやサポート体制がしっかりとしているECプラットフォームを選ぶのもポイントです。

セキュリティに懸念があるECプラットフォームの場合、万が一顧客情報などが流出してしまったときに企業の信用問題に大きくかかわります。一度のミスも許されないため、管理ページへのIPアドレス制限や脆弱性への対策などを行うことができるECプラットフォームを選びましょう。

また、ECサイト構築にあたって不明点が出てきたときに、すぐに相談できる窓口があるECプラットフォームであれば安心でしょう。運用面においても、チャットや電話でサポートを受けられるかどうかも確認してみてください。

まとめ|自社に適切なECプラットフォームを選定しよう

今回は、ECプラットフォームのメリット・デメリット、種類ごとの特徴、選定ポイントを解説しました。

自社ブランドを販売して事業を成長させていくには、適切なECプラットフォーム選びが大切です。自社に合うプラットフォームを導入しなければ、コストがかかりすぎたり、うまく販売できなかったりとリスクがあります。

手軽に導入できるECモールやASPカートから始めてみるのか、ある程度時間がかかってもカスタマイズ性の高いクラウドEC、ECパッケージ、オープンソースで構築するのか、さまざまな観点から検討してみてください。

よくある質問

ECプラットフォームとは、ECサイトを構築するソフトウェアもしくはシステムのことです。

大きく分けて、以下の5種類です。ECモール、ASPカート、クラウドEC、ECパッケージ、オープンソース。

どの種類のECプラットフォーム、そしてどのサービスを選ぶのかにあたっては、機能の充実度や手数料などのコスト、サポートの充実度などから選定してみましょう。

ECプラットフォームを活用するメリットは、自社でECサイトをゼロから立ち上げた場合と比較すると分かりやすいでしょう。メリットは、集客力が高い、コストを抑えてECサイトを構築できる、セキュリティやアップデートもプラットフォーム側が対応してくれるなどが挙げられます。

デメリットは、プラットフォーム手数料がかかる、完全に自由なカスタマイズができないなどが挙げられますが、最近ではECプラットフォームでもカスタマイズ性は抜群に上がっています。

【この記事の監修者】

豊田 亮太

グロースマーケター

Shopify Japanの初期メンバーとして、日本市場におけるShopifyの普及に貢献。ECプラットフォーム、決済代行サービス等に関して豊富な知見を持つECのエキスパート。LinkedInページ:https://www.linkedin.com/in/ryota-toyoda-b45127138/

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